IEがグラフィックス性能向上を目指す

 Webが進化してきて、ますますブラウザの表示スピードが問題になっている。最近のブラウザのベンチマークではJavaScript実行のパフォーマンスばかりが問題にされてきたが、そろそろグラフィックスそのものの表示であるレンダリングのスピードを上げることが、次の競争になってきそうである。

「IE」対「Firefox」の新たな局面--レンダリング性能を改善する新技術(CNET Japan)

 MicrosoftIEの改善を目指して「Direct2D」と「DirectWrite」というインターフェースを採用する。Windows 7では既に採用されているそうだが、ブラウザでは次期「IE 9」に組み込まれることになりそうである。ただでさえ、Windowsが起動してからさらにブラウザのグラフィックスを重ねているようなものだから、ブラウザをキレを良くすることは当然のことでもあるだろう。


 特にIENetscape Navigatorを追い落として独占を達成して以後、ブラウザの進歩を止めてしまったと言われる。しかし2004年にFirefox登場以来、ブラウザをめぐる情勢は大きく変わってくる。現在、Firefoxが25%を超えるシェアを獲得しているものの、まだIEが60%を超えるブラウザのトップであることに違いはない。しかし、ネットの世界では、IEがブラウザの標準であるという意識はなくなっている。JavaScriptへの対応、タブブラウザなどのブラウザの使い勝手も、IEは後手を引いてきて、対応したからといってもたいした話題にならなくなっている。ブラウザの技術的関心度だけでいえば、Firefox vs IE よりも Firefox vs Chrome の方になっている。


 さらにはブラウザと一体化するChrome OSの登場も見込まれるだけに、MicrosoftとしてはWindows 7に加えてIEの進化はぜひ必要なところだろう。しかし考えてみれば、IEはかつてMac版もあったとはいえ、Windows専用のブラウザである。Windowsの中だけで最適化すれば十分なわけだ。その点、FirefoxChromeなどのように、他のOSにも対応しなければならない事情とは異なる。それにも拘わらず、現状では地すべり的にIEのシェアが減少し、Firefoxが伸びている。この傾向になんとか歯止めをかけたいのだろうが、グラフィックスの速さでそれを可能にできるかどうか。