OracleがMySQLの措置で新たな提案

 予定であれば夏ごろまでにOracleのSun買収が完了するはずだったのが、欧州委員会が待ったをかけて調査に乗り出したことから、いまだに実現していない。その理由はMySQLの競争力の維持であったようだ。

オラクル、「MySQL」の措置で新たな公約を発表--欧州委も評価(CNET Japan)

 これに対して、OracleMySQLに関してかなり譲歩した案を、欧州委員会に提示したようである。MySQLの競争力を維持する方向の提案をしたらしい。これには欧州委員会も概ね好意的にとらえているようで、最終的にOracleのSun買収を認めることになるかどうかである。


 買収発表の当初より懸念されていた事項であったのがMySQLの先行きであり、ほとんどそれ1点が欧州委員会が買収を承認してこなかった理由だったといってもよい。確かにクラウドのデータベースとしての候補としても、従来のWebサービスのデータベースからの移行を考える上でも、MySQLの役割はきわめて大きいからである。そもそもLAMPのMはMySQLでもある。Amazonのクラウドでも新たにMySQLをベースとしたのサービス(Amazon RDS)を発表している。少なくともこうしたところの足を引っ張ってほしくはないものである。


 有償MySQL Enterprizeもあるとはいえ、もっと重要なのは無償の数多くの利用がなされているフリーのMySQLの先行きである。それは同じデータベースといっても、有償Oracleとは別世界を形成しているといってもよいだろう。それが中小の組織だけがコスト的に利用しているということではなく、Amazonのように大規模なサービスにおいてもだからである。サーバー機そのものすらチープなものをクラスタにして構成していくことが主流になりそうである。さらにその上に形成されるデータベースはMySQL互換であることが求められることになるだろう。買収されるSunそのものについては急速に関心が薄くなっていっているのは当然としても、MySQLのヒモ付きだけは勘弁してほしいというのが開発者やユーザの願いでもある。