松井、エンゼルスに内定

 ヤンキースからの去就がどうなることかと思われていた松井が、エンゼルスへの移籍が決まったという。ヤンキースのチーム方針からDH限定にしか扱われそうになく契約交渉も後回しにされていたこともあり、ついに男の決断を下したようである。

松井秀、エンゼルスと合意!1年5億8000万円(SANSPO.COM)
Angels, Matsui reportedly come to terms(MLB.com)

 チームやニューヨークへの愛着からすれば、できればヤンキースに残りたかっただろうが、ひざの怪我以来、DH限定としてしか戦力として見られていないことと、ヤンキースにとってはDHのポストはベテラン選手を交替で休ませるために空けておきたいポストだったようである。だから松井は元気でも、Aロッドやジーターが守備につかない試合では彼らがDHに入り、松井は控えに回されることになる。かつては日米で連続試合出場記録を更新していたほどの松井にとって、調子が悪いわけでもないのに控えに回されるということは、彼のこれまでの常にレギュラーで活躍し続けてきた野球人生からしても、我慢のできないことだったかもしれない。ヤンキースというチームは好きでも、残る野球人生で何を目指すかということを考えたときに、移籍するという決断に至ったのだろう。


 もともと契約年数は別にしても「チームから必要ないと言われてまで残りたいとは思わない」と語っていた。メジャーでは昨日までロッカールームで談笑していたチームメートが、何の予告もなく翌日には他球団にトレードされて居なくなっているという世界である。すでにそういう多くの例を見てきて、自分のときの覚悟もできていたと思われる。特にヤンキースは外野手やDHの選手の出入りは多く、名選手でもなかなか長くは残ってはいない。ヤンキース生え抜きでは、バーニー・ウィリアムスが去ったのもいい例である。過去にさかのぼれば、多くの名選手がヤンキースを去っている。あのベーブルースでさえ、晩年は他球団に移籍して現役を終えている。


 さて移籍するエンゼルスはロスというかアナハイムが本拠地である。10年ほど前はディスニーランドがオーナーだったという。気候的にも松井の体にとってはよいのではないかという話もある。ゴジラがエンゼルというのはイメージが合わないというのはともかく、外野手としての起用もするというのが決め手だったと思われる。1年契約で年俸がヤンキース時代の半分というのはやや意外だった。それだけに「お金の問題ではない」ということが強調されたようにも見える。ア・リーグ西地区では毎年地区優勝が狙える強豪球団ではある。イチローマリナーズとの試合も増えるだろう。ところで赤のユニフォームが基調のエンゼルスだが、最近のキリンFIREのCMでの松井が赤のヘルメットだったのは、エンゼルス移籍を暗示していたのだろうか。


 ヤンキース時代にはチーム打撃を優先した感があるが、ワールドシリーズで偉業を成し遂げたことでもあるし、今後は自らの記録にも挑戦してほしい。ホームラン王と打点王を狙える環境が整っていると思いたい。仮にあと5年間30本以上のホームランを打ち続ければ日米通算で600号に達する。さらに、王の868号はともかく、2位の野村の657号は超えてほしいものである。