ネットブックの急成長はいつまでか

 PCの価格破壊というべきネットブックが登場してから2年ほどだが、この不況で唯一販売数が伸びているのがネットブックである。ここまで急成長を遂げてきたが、今後はこれが減速してくるだろうとの予測がある。

Netbookの急成長、今後は減速―DisplaySearch予測(ITmedia)
PC国内出荷、ノート型比率が7割に(CNET Japan)

 登場した当初は安価なノートPCというイメージでユーザが飛びついたが、次第にネットブックとは何かということが理解されてくると、PC全体の中でほぼその占める割合が一定になってくるのではないかということである。現在すでにそうであるように、それはPC全体の20%前後ではないかということである。ネットブックに引きづられるように、従来型ノートPCでもネットブックよりもやや割高な価格で出現してきているようになっているので、画面の大きさとか高スペックなものを求めるユーザは従来型ノートPCを求めることになるだろうからということである。


 ただこうした予測は、あくまでネットブックも従来型ノートPCもこれまでのイメージのままで推移するという前提のものである。そもそも2年以上前に、誰がネットブックの登場そのものを予測できていただろうか。金融危機も誰も予測はできなかった。ネットブックの登場とその成長は、たまたまこれらのことが重なりあって起こりえたことだともいえる。


 そして今後の背景としては、単にネットブックと従来型ノートPCとの関係だけではなくて、クラウドへの大きな流れと2010年に登場するネットブック向けWeb OSといわれるChrome OSがある。それらに向けて製品のコンセプトも進化してくるだろう。だからおそらく単純な予測は成り立たないだろうということである。従来型ノートPCはアプリケーション向け、ネットブックWebサービス専用、シンクライアント向けという見方もできるかもしれないが、それにしても流動的である。アプリケーションといっても2010年にはOffice Web Appsさえ登場する。一気にクラウドWebサービスへと傾斜していくこともありうる。そして何よりネットブックと従来型ノートPCの区別の意味はどれだけあるのか。製品の進化が進めば、価格も含めてこれらの境界はほとんどなくなることもありうる。もしそうなれば、そうなるブレークスルーを行ったのは現在のネットブックの登場だったということになるだろう。