MSN産経ニュースで記事ブログパーツを提供

 産経デジタルMicrosoftの提携による「MSN産経ニュース」で記事引用のブログパーツが提供されるようになる。これによって個人のブログにも引用許可を必要とせずに、引用掲載が可能になっている。Microsoft的には国内ポータル初だというのだが、今後のニュースの引用やWebニュースにどのような影響があるだろうか。 

国内ポータル初!“写真も貼れる”ニュース記事ブログパーツ、提供開始(MSN産経ニュース)
利用方法
産経デジタル「写真も貼れる,MSN産経ニュース記事ブログパーツ」の提供を開始(CNET Japan)
ソフトバンクグループ、ブログでの正規引用を認めたニュースサイトを開設(2006.2.3)
MSN産経の記事を引用できるブログパーツ(ITmedia)

 Webニュース系ではITmediaとか、早くからはAFP通信のAFP BB Newsがブログに引用できる機能を持っているので、いまさらという気がしないでもない。実際、現在の8つのブログ(はてなは未だ不可)に引用する際にもAFP BB Newsのブログ転載サービスの仕組みを利用しているようである。ただ国内では産経新聞社としては大手新聞社系のWebニュースとしてはasahi.comに続いて(?)であるし、Microsoftとしてはポータルサイトとしては初ということで、Googleニュースはタダ乗りと批判されるGoogleや、Yahoo!との違いを強調したいのかもしれない。Webニュース専門のサイトはともかく、紙媒体も持つ大手新聞社系サイトとしては意味がありそうである。


 こうした流れは、ブログなどで容易に個人のページを持つことができるようになって、安易な無断引用も増えた結果の判断かもしれない。日本新聞社協会の新聞著作権の基準はなかなか厳しいが、ネット上では有名サイトでない限り、引用ルール無視のサイトを取り締まることは難しいだろう。そこで引用されることを、むしろ逆に新聞記事ごとに広告入りでブログで宣伝をしてもらおうというのが、ブログパーツ提供の意図なのかもしれない。それによって間接的に紙の新聞の購読者が増えてくれればよいのだろうが・・・、なかなかそうもいかないのがネットの世界でもある。今後、他の新聞社系サイトもこれに追随する動きが出てくるかどうかと、CNET Japanを買収した朝日新聞なども今後どうなっていくか注目される。一見小さなことに思えるが、ニュースと読者の関係に一石を投じるものであり、購読部数が減少している新聞の将来に関係することになるだろう。


 別の動きがThe Wall Street Journal見られるようなニュースサイトの有料化である。もし新聞社サイトの有料化が広がって、有料登録をしたユーザだけが引用できるということになれば、事実上引用は有料ということになってしまうだろう。無料でニュースを読みたい人は有料記事が引用されているブログを探す、というおかしなことになるかもしれない。ニュースに限ったことではないが、ネットにおけるオープン化と有料化の間の最適解はまだ誰も見つけられていないかもしれない。