欧州委員会がOracleによるSun買収を承認

 もう事実上終わっていた話とはいえ、OracleのSun買収に関してクレームを付けていた欧州委員会がやっと承認して、買収成立が確定したことになった。両者で買収合意してから実に半年以上も足踏みしていたことになる。その間にも、ITの世界の事情はどんどん変遷しているようにも思える。もはやSunにしろOracleにしろ、ネットの世界をリードするキープレーヤーではないだろうというのが実感である。

欧州委員会、オラクルによるサン買収を承認(CNET Japan)
OracleによるSun買収、欧州委員会が無条件で承認(ITmedia)
EUが米OracleのSun買収を承認、「PostgreSQLが代替になりえる」 (SourceForge.JP)

 SunとOracleといえば、かつて「ネットワークコンピュータ」構想(いわゆる500ドルPC)を提唱し、JavaをOSのようにして、従来のデスクトップPCに対して、TCOの削減を図れるというものだった。いわば反Microsoftの構想だった。それらは彼らの主導にはならなかったが、現在ではある意味、実現されてしまっているといえる。500ドルPCはネットブックでそれ以下の価格にもなっているし、ネットワークでコンピュータを使うのはJavaでなくても、Webサービス(Web2.0)とクラウドで実現されようとしている。ただしそれは当時まだ影も形にもなっていなかったGoogleがトッブに立って推進し、Oracleが排除したかったMicrosoftも依然としてそれらを追走する立場にいるということである。


 すでにオープンなものとなっているJavaはともかく、Webサービスクラウドを推進するのに関わる部分で、最も影響力を持つ存在がMySQLのはずである。ところがOracleにとっては、自社プロダクトのラインアップの中ではMySQLは一番片隅の存在でしかない。しかしネットの中でのオープンソースデータベースとしての影響力は、一部の企業しか使えないOracleデータベースなどの比ではないはずである。ネットユーザからすればオープンソースソフトウェアが囚われの身になったような気分である。欧州委員会としても難色を示したのは、MySQLの自由を担保しろということだったのだろう。その後、Oracleも案を提示したことで欧州委員会も認めざるを得ないことになったのだろう。Oracleにはネットに関して何か新しいことを期待するというより、MySQLの足だけは引っぱらないでほしいという印象である。MySQLの創設者は、まだ反対運動を続けるのだという。もうMySQLに代えて、PostgreSQLもあるという話さえ出ている。