AppleはGoogleを間接攻撃か
ネットをめぐってはGoogle vs Microsoftの争いが目立つが、スマートフォン市場をめぐってはGoogle vs Appleの争いが顕在化してきそうである。その開戦の火ぶたがAppleのHTCの提訴であるというわけだ。Appleの本当のターゲットはAndroidであり、Googleであるというわけだ。ところがAndroidはオープンソースなので、直接Googleを訴えることはできなかったのではないかという。
Androidがオープンソースだから、AppleはGoogleを訴えられなかった?(ITmedia) Apple、Androidの脅威にいら立ち? HTC訴訟はGoogleへの「間接攻撃」か Apple Sues Nexus One Maker HTC(The New York Times)
Googleは訴訟の直接の当事者ではないが、Androidとその開発に従事するパートナーを支援するとしているから、簡単な訴訟ではなく長引くことになりそうだという。そうなれば携帯機器の寿命がせいぜい2年ほどなので、今後の製品戦略に訴訟の存在の影響がどう出てくるかということである。AppleとしてはiPhoneのスマートフォン市場の先行者利益を、少しでも長い期間確保したいところである。あまり早く機能的にはそれほど変わらないAndroidフォンが、急速に勢力を伸ばしてくるのは食い止めたいところだろう。HTCを提訴したことによって、Android搭載のスマートフォンを製造するキャリアが二の足を踏むことになれば、2年間くらいでも効果大だということになる。市場の立ち上がり時期の2年間は大きい。その間にiPhoneのシェアを確固なものとしたい戦略であろう。
一方のGoogleとすれば、スマートフォンのシェアを獲得するというより、Android経由でGoogleのWebサービスを携帯の市場にも広げることが目的であろう。その意味では、Apple vs Nokiaの争いとは、だいぶ焦点がずれている感じである。またGoogleとしてはAndroidを普及された後には、Chrome OSとの統合が待ち受けている。ただしネットブック分野のChrome OSとスマートフォン分野のAndroidのどちらかでも普及しなければ、統合も意味のないことになるだろう。AppleはAppleで、iPhoneとiPadとの関係がどうなっていくかは、まだ不透明ではある。Chrome OSとAndroid、iPhoneとiPad、単なる今年の新製品としてだけでなく、今後のネットの方向性に影響を与えそうな関係となっていきそうだ。