Photoshop.com Mobile for Androidに組込み機能

 AdobeのオンラインPhotoshopである、Photoshop.com機能がAndroidアプリで利用可能になるという。独立したアプリとしてだけでなく、事実上あらゆるアプリで組込み可能になるのだという。ただし可能なのはAndroid版だけでiPhone版は提供されない。FlashをめぐるAppleAdobeの論争が影響しているのだろうか。

Adobe,Photoshop.comの機能をAndroidアプリで利用可能に(ITmedia)
Adobe,Android向けPhotoshopアプリをリリース(2009.11.9)
Adobe、iPhoneアプリ「Photoshop.com Mobile to iPhone」..(2009.10.13)
アドビ、「Android」用「Photoshop.com Mobile」に新版--(CNET Japan)

 最近はFlashも有名になったとはいえ、Adobeの昔からの代名詞といえば、やはりPhotoshopである。その主力製品のWeb版がビジネスモデルも含めてうまく乗るようになるかどうかは、Adobeの社運がかかっているといっても過言ではないだろう。MicrosoftのOfficeのWeb版がうまくいくかどうかと似たような状況である。 


 そうしてWeb版のPhotoshop.comをスマートフォンからでも利用できるアプリをiPhone、Andorid、Windows Mobileに提供してきたが、他のアプリにも組み込めるようになるのはAndroid版だけになる。Androidのオープン性とiPhoneの閉鎖性をAdobeは問うた形だ。iPhoneにも組込みは不可能ではないだろうが、Adobeの方が頼み込んで実現する筋合いではないというところか。技術的には直接は関係がないと思われるが、iPhoneからのFlash閉め出しの動きに抗議した形だろうか。


 Photoshopといえば、もともとMacintoshとの結びつきが大きかったソフトウェアである。Macicntshは芸術系に強いPCだったのも、Photoshopを始めとするAdobeのソフトウェアがあればこそだった。現在では数の上ではWindows版の方が大きいとはいえ、芸術系の人はやはりMacのハードウェア上で使っているだろう。Macがそれなりのシェアを獲得している要因でもある。


 しかしWeb版、モバイル版と拡大してきて、状況は変わってきているようだ。そこでのプラットフォームはブラウザでありスマートフォンでの画面である。Photoshop.comそのものも、そんなに精緻な写真編集をする目的ではない。デジタルカメラそのものもいくらか写真加工ができる機能があるくらいだから、ネット上にとりあえずアップロードした写真を、Webサービスで即座に必要な加工を施せる。スマートフォンの小さな画面からでも、エフェクトをかけたりトリミングをしたりするくらいは簡単にできてしまう。それが他のアプリからでもプラグインのように必要な写真の加工を行うことができるというわけである。同じPhotoshopといっても、ずいぶんとお手軽な操作が主になるのだから、スタンドアロンのソフトウェアとはだいぶイメージが違っている。専門的な深いソフトが広く浅く組込まれるアプリになっていきそうだからである。


 AppleiPadFlashを搭載しない方針を示していることから、同じように報復的にiPadではPhotoshop.comの機能が限定されることになるかもしれない。タブレット型で画面の大きさからして、Photoshop.comはiPhoneよりははるかに有用どころか、主力のアプリにもなりうるだけに、やや不透明なことになりそうである。