タブレット戦争の行方はどうなる

 ネットの分野では新たな市場をめぐって、今年もさまざまな競争が始まっている。スマートフォン市場のiPhone vs Androidネットブック市場のWindows 7 vs Chrome OS、そしてその中間に位置すると見られる「タブレットPC」市場である。AppleiPadの発表は例のごとく、それなりの衝撃を与えて受け入れられて4月からその販売も開始される。しかしこれに対抗しうるのがHP Slateになりそうだということである。

いよいよ始まるタブレット戦争「両面の敵」と戦うiPad(ITmedia)
AppleはHPのタブレットを警戒すべき―その理由は

 iPadは、タブレットPCとしての顔と大きなターゲットとされる電子書籍リーダーとしての顔の両面がある。コンセプトとしては、iPodiPhoneで成功した音楽配信を、今度は電子書籍市場にも適用しようとするものであろう。これは成功すれば将来の出版の世界のあり方まで変えてしまう可能性もある。


 こうした大きな市場を他社も指をくわえているわけもなく、ハードウェアとしてはHPがWindows 7を搭載した「Slate」を年内に出荷する見通しである。これに電子書籍リーダーであるAmazon Kindleが加わる。そしてSlateでは、Appleが最近排除したがっているFlashも再生可能になるという。いわばHP、MicrosoftAmazonAdobeの連合軍でiPadに対抗しようとしているわけである。特に現状でのFlashの可否がこの戦いのキーになりそうである。


 どちらかといえばあえて機能を限定して、ネットブックでもないスマートフォンでもない、新しいジャンルの市場として「タブレット」を発展させたいAppleと、従来のPCの機能も維持しながらタブレット機能を加えたPCとしたいHP連合軍側の思惑がぶつかりあっているように見える。あるいはiPodiPhone側からの延長としてのiPadと、ネットブックからの延長としてのSlateという見方も成り立つかもしれない。ただ実際市場に出たときに、Flashの可否がどれだけ影響するかどうかである。なにしろ現実には、動画コンテンツの75%がFlashなのだそうである。


 特に意味はないが、Apple iPadとHP Slateの広告デモを比較して並べてみた。HPの方はAdobeとの提携を強調しているように見える。当面は高みの見物としよう。



Apple - iPad - Introducing the iPad



Adobe Demos Flash & Air on HP's Slate Device