電子書籍市場に続々参入

 テレビのニュースでも報じられていたが、いろいろな企業が一気に電子書籍販売を始めることを表明している。iPadの影響がたった数カ月のうちにここまできたのか、あるいはジリ貧になりつつある紙の本の出版社や印刷会社がこの機会を待っていたという結果なのだろうか。

電子書籍販売「Googleエディション」、日本で年明け...(ITmedia)
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ドコモ、電子書籍配信に参入 通信3社そろい踏みで激突

 まずGoogle電子書籍販売サービスである「Googleエディション」を始めると発表している。明らかにAppleのiBookStoreに対抗するものとなるだろう。iBookStoreがiPad向けの電子書籍販売であるのに対して、Googleエディションはオープンな電子書籍のプラットフォームに対するWebサービスとして、購入も閲覧もできるとしている。他のサイトから購入した電子書籍でも閲覧できるという。


 すでに「Goolgeブック検索」によって、既存の紙の本の一部閲覧ができたが、Googleエディションはこの拡張にもなりそうだ。まずGoolgeブック検索で「立ち読み」をして、買いたくなったらGoogleエディションで購入するという形になりそうだ。Googleエディションの最大の特徴は、あくまでWebサービスであるということだろう。特定電子書籍リーダーを持たなくてもPCやスマートフォンでも電子書籍が閲覧できるわけだから、たとえば職場のPC環境の中でも電子書籍を利用できることになる。現在はiPadを含め、リーダーの方にばかり関心がいっているが、電子書籍市場を広げるという点では、普通にWebだけで読めるということは大きいだろう。


 さて国内では、印刷会社DNPbk1丸善ジュンク堂文教堂と提携して国内最大級の電子書籍書店を開設するという。こちらは紙の本との「ハイブリッド型書店」となりそうだ。同じ内容の本なら購入の際に「紙の書籍」か「電子書籍」か選択することができるようになるのだろうか。そうなると価格設定が問題になるような気がする。仮に同じ価格ならば読者は納得しないだろうし、半額以下だとすれば一気に電子書籍購入に傾くことになるだろう。古いものと新しいものを混ぜるハイブリッド型の難しいところである。


 またやや意外なところでは、ドコモが電子書籍市場に参入する。こちらは電子書籍をモバイルコンテンツの拡大と考えているようだ。ただスマートフォンだけでなく、iPadならぬ「docomoPad」のような端末販売も考えているのだろうか。iPadを持つソフトバンクに対抗する意味合いもあるのだろうが、電子書籍ガラパゴス化しては意味のないことになるだろうから、ここはGoogleの路線に乗らざるをえないのではないだろうか。