理想の電子図書館

 国会図書館電子図書館化を進める方針は既に明らかにされてきたが、ここにきてiPadの影響で電子書籍の流通が現実化してきそうな状況で、ますます国としての主導的役割が重要になってきそうである。

講演会「電子図書館の可能性」(国立国会図書館) 
国会図書館館長が語る「電子図書館の可能性」..(ITmedia)

 講演によれば、Googleブックスなどで本のデジタル化を進めるGoolgeを強く意識しているようである。日本にはこのような試みをする企業がないだけに、間違えれば国の知的財産をGoogleに独占されてしまいかねないと危惧する。


 そのため自国の知的資源を守っていくためにも、国会図書館の役割も大きいというわけである。デジタル化は大きな流れだが、流通が容易くなってしまうと今度は民間の出版社や著者の利益を阻害してしまう可能性も出てくる。確かに国会図書館が書籍の販売や貸出し業を行う結果になるわけにもいかない。


 またデジタル化によって、やや意外なことだが書籍のテキスト化をされることを懸念する。全文テキストになってしまうと容易に流通し、かつ全文検索可能となり、容易に改竄、再利用されてしまう可能性があるからだそうである。テキストでダウンロードはできずに、あくまで電子書籍リーダーの画面のみで読めることの方がよいというわけだろうか。どちらかといえば書籍については「デジタル化=テキスト化」だというイメージだったが、社会的にはそのままではだめのようである。


 やはり最終的には、電子書籍時代に合った著作権というものが変わっていかなかればならないだろう。目先の出版の利益よりは、紙の書籍では手に入りにくい文化的資産に容易に触れることができるようになることが理想であろう。