2ch元管理人が書類送検

 2ちゃんねるの創始者の西村ひろゆき氏が書類送検されたという。それも掲示板への覚醒剤売買の書き込みを放置した疑いだとか。ちょっと考えてみただけでも、これは無理筋の話ではないだろうか。Winnyの作者を起訴して結局無罪になった事件が思い出される。

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 いろいろな視点があろうが、まず掲示板に違法な情報が書き込まれたからといって、掲示板で交流の場を提供しただけの人が起訴されるのかという点である。膨大な投稿数になれば事前にチェックは難しいし、違法かどうかの判断は誰が行うのかという問題もある。掲示板の管理者、サーバー管理者、接続プロバイダまでに責任を広げられるものではないだろう。


 もっと疑問なのは、ひろゆき氏はすでに2ちゃんねるの管理人ではなくなっているという点である。本人は譲渡したと言っていても、依然として影響力を行使していると警察は判断したのだろうか。警察としては、違法薬物売買の幇助は建前だけで、噂されるように「2ちゃんねる潰し」のための捜査のきっかけが欲しかっただけなのかもしれない。


 これまでは掲示板書き込みなどで名誉毀損に当たるとして民事訴訟になるケースはあったと思うが、いきなり刑事で送検という例は稀なのではないか。そしてその相手が悪名高き?2ちゃんねるの創始者ともなれば、これはどうも「見せしめ」的効果を狙ったもののようにしか思えない。その点はWinny事件とも共通するような気がする。


 しかしネットが悪用されるとしても、もはや掲示板ばかりをやり玉に挙げるのは、すでに時代錯誤のような気がしてならない。本当に違法取引に悪用しようとするなら、掲示板のようなオープンなものではなく、アンダーグラウンドの方法はネット上ではすでにいくらでも存在していて高度化している。2ちゃんねるのようなところの「危ない書き込み」は、どちらかといえばあまりに思慮がなく書いているものに思える。だからといって、取り締まりしやすいところばかりを標的にするのにも疑問を感じるのである。それとも2ちゃんだけ無くなれば、ネットは健全化するものだと考えているのだろうか。どこかの国のような検閲社会のようにはなってほしくないものである。