Kindle本の自費出版

 AmazonKindle本として、自費出版を格安で行うことができるようになった。Kindle Fireの日本語版が出ただけに、書く側としての可能性も拓けてきたわけだ。

“Kindle本”自費出版、日本でも「ロイヤリティ70%」選択可能に(ITmedia)
“Kindle本”自費出版「Kindleダイレクト・パブリッシング」日本版スタート(10.25)

 そもそも自費出版とは、無名で出版社から出版の依頼が来ないような人が、自分の記念などでどうしても出版してみたいという願いから、持ち出しで出版するというイメージがある。初めから著作料を期待するようなものではない。ただ従来の自費出版を請け負う出版社に依頼すれば部数にもよるが、数十万円はかかると算定したことがあった。


 だがそういう人でも電子書籍でよいのならば、より敷居は低くなって格安で自費出版できるということになりそうだ。そして一応、あのAmazonのストアから売り出すことができる。売れる内容の本であるかどうかはともあれ、誰でも自由に出版できるというチャンスが広がったことは確かである。


 著述を生業としている人はもちろん、紙の出版社よりは著者に入るロイヤリティが高くなり、70%にも設定できるという。従来の出版社の存在意義を揺るがしかねない設定である。自費出版ばかりではなく出版の概念が根本から変わってくるかもしれない。


 出版による印税のようなものは、一般的にはよほど部数は売れるようなベストセラー本でもなければ期待できるものではない。それよりも自費出版したいという人はとにかく自書を世に出してみたいだけである。そのために売上げを得るどころか経費を負担してもよいと思っているわけだから、その手続きが無料同然でできるのであれば、こんなにありがたいことはないだろう。そしてこれらは一般向けに販売というより、むしろ限られた範囲の人々に配布するような書籍に有効ではないかと思える。たとえば特定のセミナーで利用するテキストや教科書などである。部数を作りすぎて余る心配もない。セミナー受講者には無料配布だが、一般の人には有料での販売もできるように設定もできるだろう。自分もセミナーや講演をすることがあるのだが、その資料をこういう形で配布出来ないものかと思えてきた。