2012年の最も関心事はダウンロード違法化

 2012年は2011年の震災のような大きな出来事はなかったが、世の中ではあまり良いこともあったとはいえない。政権が変わったからといって国民の暮らしがよくなるとも思えない。ネットニュースの中で最も関心があったものは何かといえば「ダウンロード違法化」だったようだ。消費税増税法案と並んで、国民無視の法案が安易に通ってしまったようで、何やら憤りを感じざるをえない。

2012年に最も読まれた記事は「DVDリッピング違法化+違法DL刑事罰化」 (INTERNET Watch)

 選挙前は民主だ、自公だ、維新だのと騒いでいたものの、国民一人ひとりに直接関わる消費税、そしてダウンロード違法化などは与野党あっさりと同じ方向に進んでしまったように見える。政局とは別のところで、着々と利益誘導している勢力があるように思えて仕方がない。消費税に関しては一度上げてしまえば将来は税率の上限がなくなりそうな恐れがあり、ダウンロード違法化は一度認めてしまえば、違法の範囲をどこまでも拡大解釈できる可能性が出てくる。


 違法だと決めつけて罰することばかり考える以前に、そもそもデジタルコンテンツ時代に旧来の著作権そのもののあり方を変えることの方が重要な気がする。違法だ、損害を被ったなどと主張しているのはアナログコンテンツ時代のルールや既得権を、そのままデジタルコンテンツにも押し付けようとするところに無理があるように思える。著作権を無視する行為を良いとは言わないが違法アップロードの取り締まりが手に負えないからといって、最後にダウンロードする一般人まで刑罰化の対象にするとは、本当に嫌な発想である。どこぞの国でも違法化されているから日本でも当然みたいな発想はやめた方がよい。どこぞの国は泥棒が日常茶飯事の国の事情があるのかもしれないし、安易に日本と同じに考えない方がよい。しかしネットを監視することに腐心したがる勢力も存在するようである。


 税金を上げたり、国民を監視するだけで景気が良くなったり、世の中が良くなったりするとは到底思えない。もっとポジティブに新しいものを生み出す活力が必要だろうが、国が率先してその芽を摘み取っているのではないかと感じる2012年であった。