山本五十六

 日米開戦の時期に合わせてNHKの「そのとき歴史が動いた」で、山本五十六を2週に渡って再放送している。真珠湾攻撃ミッドウェー海戦零戦など、太平洋戦争の戦略面での首謀者で、歴史上は典型的な軍国主義者になるが、個人としての実態はかなり異なる。むしろ欧米との戦争には最後まで反対していた
人物であった。しかし戦争への流れには抗しきれず、個人の意志とは正反対に連合艦隊司令長官として、「日本を守るため」最前線を指揮して死地を求めることになる。

http://www.nhk.or.jp/sonotoki/2005_11.html そのとき歴史が動いた

山本五十六の語録にはネット上でもよく見られる有名なものがある。たとえば

やってみせ 言ってきかせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ

これは上杉鷹山の言葉の影響のようだ。番組の中では、その中でも特に母校の旧制長岡中学の講演で、後輩に向けて平易に語ったと思われる次の言葉に心を打たれた。

私は諸君に対し、銃をとって第一線に立てとは決して申しません。
あなた方に希望するところは、学問を飽くまで静かな平らかな心を持って
勉強し、将来発展の基礎を造って頂きたいと熱望する次第であります。
どこまでも気を広く持ち、高遠なる所に目標をおいて、日本のために
進んでください。

平和だ平和だと口で言うのは易しい。これは自分の意志に反し、日米決戦を遂行せざるをえなかった山本五十六の言葉だけに重みがある。日本人全体に向けた遺言のようにさえ思える。
時代が違うとはいえ、何でもアメリカに右ならえで調子に乗る日本の政治家とはえらい違いだ。