フセイン元大統領

 あまりニュースがない中でフセイン元大統領の死刑が執行された。今さらながらという感があり、死刑に反対する人権団体なんかが騒いでいたようだ。今後、米軍撤退の大義名分になるということで、アメリカと現イラク政権と利害が一致したのだろう。
 イラク戦争での米兵の犠牲者は三千人にものぼっているそうで、千人を越えたときでさえひどいものだと思ったが、いつのまにか大変な犠牲者数になっている。アメリカは湾岸戦争以来、ピンポイント爆撃だのとあれほどハイテク戦争を宣伝しておきながら、地上戦になるとこれほど犠牲者を出さざるをえなかったのは、どこかおかしい。もっともおかしなことは、結局フセインとテロリストと関係がなかったことと、大量破壊兵器とやらもなくて何のための戦争だったのかということだ。
 フセインは単なる独裁者だというだけでなく、湾岸戦争前に世界各国のイラク在住者を人質に取るなどとんでもない政治家だったが、結局そのことは忘れられて、イラク国内の宗派対立だけの話になってしまっていることも、どこかおかしな話だ。この国には人権や国際社会に対する責任のような観念はないのだろう。
 次は同じような責任の観念がないどこかの国の人をなんとかしてください、というのが日本人の誰しもが思っていることだろう。