アップル iPhone を発表

 熱烈なMac信者あるいはiPod支持者ならずとも、iPhone の発表は興味深い。仕事がら新しい技術や製品が登場すると、どうしてもその背景となっていることを考えてしまう。特にスティーブン・ジョブスはしぶといなと思う。iPodから新世代のケータイになるiPhoneは、実はPDAニュートンの再来だろう。そしてOSにはMacOS Xに近いものが搭載されるそうだが、そもそもMacOS XはかつてのNEXTSTEPであり、もっと遡ればNeXTコンピュータまで行き着く。ジョブス自身、アップルから追い出されてまた復権したりと波瀾の人生を歩んでいるが、一貫して新しい技術を進化させながら世の中に登場させてきた執念はたいしたものだ。世界の大金持ちになったビル・ゲイツWindowsの技術の多くは、パクリの歴史だったこととは対照的だ。
 MacからNeXTへの転進は当時としては新世代のコンピュータの提案だったし、NEXTSTEPは精緻なグラフィックスを持つUNIXの提案だった。ニュートンは新世代のPDAだったし(このときはジョブスはアップルにいなかったが)、挫折したニュートンの技術を新生代のケータイおよびWebコミュニケーションツールの提案としてリニューアルさせたのがiPhoneだと思われる。日本ではケータイの標準が異なることもあり、製品登場は来年以降になりそうだが、米国内では今年499ドルから発売されるという。これも何やらJavaが登場してきた頃言われたネットワークコンピュータの、いわゆる500ドルコンピュータの再来ではないかと思えてくる。