ペコちゃんの品格

 不二家といえば、子供の頃、印象があるのはペコちゃんのキャラクターくらいで、ミルキーだとかネクターだとか変に甘ったるすぎて、味に関してはあまり良いイメージがない。そのペコちゃんのイメージも今回の騒ぎで失墜してしまった感じだ。甘ったるいものの原料が、賞味期限切れで腹をこわしそうなものが平気で使われていたということらしい。実際、シュークリームなんて、ちょっと古い日付のものを食べると気持ちが悪くなることもある。親には危ないから食うな、と言われていた記憶がある。
 事故ならまだしも、トップが賞味期限切れを知っていた上での確信犯だから、消費者というか顧客をバカにしたビジネスをしていたということになる。以前の雪印の失敗を何の教訓にもしていなかったということか。
 マスコミでは、ただトップが頭を下げたり、ひどい時は土下座をしているシーンが映されるが、何の意味もないことだ。むしろ過剰な謝罪シーンに関心をそらすことで、当事者にとってもっと都合の悪い事実が隠される可能性さえある。マスコミなんか、自分らが直接の被害者でもあるまいに、重役を追っかけて偉そうに追及の言葉を発するのだろう。そこで雪印の社長のように「私は寝ていないんだ!」の迷言も生まれたわけだ。あの人は、あの一言ですべてが終わってしまった。トップとして厳粛な対応でもしていれば、まだ組織の評価も変わったかもしれないが、あの一言で組織そのものを潰してしまったようなものだ。
 最近は、いろいろな組織でリスク管理というより、モラルとか事の重大さに鈍感なトップが増えたのだろうか。あるいは情報を隠しきれなくなっただけなのか。トップが堕落すれば下の者もダメになる、というかダメな人間しか残らなくなる。官製談合なども同様で、問題にされるまでトップは「何が悪いんだ?」という意識なのだろう。「国家の品格」とはこういうことに「恥を知れ」と警鐘を鳴らしているのだろう。品格のない親からは、品格のある子供は育たないことと同じだ。