東国原の乱

 いやあ驚いたね。そのまんま東が宮崎県知事選で圧勝してしまった。地方選挙で2位に7万票もの大差をつけて当選したのだから、びっくり仰天だ。宮崎県の県民性のことは知らないが、保守王国だっただけに、談合事件の反動で予想外の結果になったのだろうか。
 マスコミでもいろいろ分析しているようだが、千載一遇のチャンスをものにした感じだ。そもそも自民党の候補者が2人とも官僚出身者だったのは、官製談合の直後ではあまりにも空気を読めなさすぎだろう。民主党にいたっては、候補者さえ立てられないのだからどうしようもない。
 とはいえ、自民党の敵失があったとしても、知名度があるタレント候補だというだけで、あれほどの大差で勝てるものでもあるまい。立候補を表明したときは、泡沫候補どころか当選しようものなら宮崎の恥、と言っていた人のインタビューが出されていたくらいだった。下半身問題の前科のこともあって、タレントといっても最近はテレビで見ることも少なくなっていたはずだ。


 立候補前に離婚もし、芸能界事務所も契約解除され、芸能人の応援もいっさい頼まず、退路を断って知事選に挑んだことが選挙活動に迫力を生んだのだろうか。やめたとはいえ、背後にビートたけしの影が見え隠れする。たけし軍団の中で認められるためには、人前で平気でパンツを脱ぐことさえ躊躇しないほどの鍛えが入っているし、たけしの横に居たことで話術とか人との接し方の絶妙さが、ギャグは出さずとも身にしみていたのだろう。そういうムードを汚職に対して閉塞感のあった県民が感じ取り、「面白えじゃないか」と勢いそのまんまで投票したということかもしれない。


 たとえ1期だけで終わったとしても、おごらずに務められれば、旧弊のぶっ壊し屋としては大したものだ。今後は故青島都知事や田中知事と同様に、四面楚歌になるであろう議会との対立を、県民の支持をバックにどう乗り越えていくかだろう。