ミルコ・クロコップUFC初勝利

 K-1、PRIDEと渡り歩いたクロアチアミルコ・クロコップが米UFCに初参戦し、TKO勝ちした。大晦日に紅白の裏番組として定着してきた総合格闘技の外国人スターのミルコだが、PRIDEがフジに切られたことの影響か、さらなる飛躍のためにUFCに移籍したようだ。

 ミルコは、初めK-1に参戦していた頃は、4番手か5番手くらいの中堅選手のイメージだったが、立ち技だけのK-1から寝技もありのPRIDEに移籍して、プロレスラーの藤田に勝ったあたりから注目されるようになり、持ち前のハイキックを武器にPRIDEのトップファイターになった。寝技は経験がなかったはずだが、格闘技のセンスがあるためか短期間に対応し、寝技が得意の相手に対しても遜色がなくなったようだ。今回のUFC移籍に際しては、クロアチア代表というより、日本のPRIDE代表的な参戦となったようだ。相撲と同じく、この分野でもなかなかヘビー級の日本人のチャンピオンが出てこない。


 UFCは究極格闘技のアルティメットと言われたり、バーリトゥード(何でもあり)と言われるように、初期の頃は相手に馬乗りになって容赦のないパンチを浴びせる凄惨なファイトのイメージが強く、バイオレンスを嫌う州では開催が禁止されるところもあった。現在は以前より、だいぶスポーツライクになったのだろうか。

 日本人も過去に何人か挑戦しているが、選手や大会によって実力差がありすぎるのか、あまりレベルがはっきりしない。ミルコが通用するかどうかは、現在のUFCのレベルを測ることにもなる。特に総合格闘技UFCではプロレスラーが負け続けたために、すっかりかつてのプロレスの地位は落ちてしまった。プロレス=エンターテイメント、最近のハッスルだと「ファイティングオペラ」などと称して、格闘技とは別物みたいに言われるようになった。
 昔は、本当にガチでも強いプロレスラーはいたと思うのだが、プロレスという相手との呼吸のパフォーマンスもありの世界では、顔面パンチやダメージを与える関節技もありの格闘技勝負はタブーのせいか、今では本当に強いと思えるレスラーはいなくなった感じだ。
 ただプロ競技としては、UFC総合格闘技は見ていてもあまり面白くないというのが実感だ。実力差があれば派手なKOシーンも見られるだろうが、実力が拮抗している場合には、膠着したままの凡戦になりやすい。「プロとは何か」という問題になるのだが、この話は語ると熱くなりそうなので、このくらいにしておこう。