東国原旋風吹き続ける

 東国原知事懸案の県議会が始まり、緊張の所信表明演説だったようだが、実に堂々としたものだった。芸人だけにアドリブを得意とするところを、あえて自らのマニフェスト通りに原稿を読み上げたが、棒読みどころかメリハリの効いた演説でたいしたものだった。
 県会議員も余裕で偉そうに知事の批評などしていられまい。ここまで注目されてしまうと、下手な足を引っ張るだけの質問をする県議の方が、全国から批難されかねない。「県の財政をなんとかしろ」とヤジを飛ばして退場させられた傍聴者がいたそうだが、前知事が逮捕された現時点では、前知事の施策に与した県議の道義的責任も問われるべきだろう。
 地方の県議なんて、通常はほとんど落選しないものだから、今春の県議会選挙では、東国原知事に刺激されて我こそはと思う真の「県民党」の候補者が多く出ればいい。自民党の数をたのんで、事実上前知事の片棒を担いでいた県議の何割かは落選させるべきだろう。


 それから知事がとうとう、巨人キャンプを視察に訪れた長嶋監督にまで対面していた。ミスタープロ野球とまで言われたかつての国民的ヒーローであり、知事の世代では神様みたいな存在だ。「こういう立場でお目にかかれたのは感無量」というのは本音だろう。またそういう言葉が、中高年世代には大きく支持されることにもなるだろう。そういえば長嶋監督なんて、もう50年近くも宮崎を訪れていることになる。知事にとっては巨人キャンプが宮崎で幸運だった。
 人間、責任ある立場に置かれれば、これだけ変わるものかとも思う。もはや東国原知事ひとりがどうこうというより、立ち行かなくなった地方の行財政にどう取り組むかという試金石として、全国の地方の県からも注視される存在になった。宮崎であそこまでできるんだからと、各県でも政党に縛られない多彩な人材が登場してくる契機になるかもしれない。まあグレート・サスケはやめた方がいいと思うが。そういう意味でも、くれぐれもつまらないスキャンダルなどで失脚してほしくはないものだ。