Google Apps はオフラインが問題か?

 Googleから発表のあった中小、個人事業向けのオフィスサービスであるGoogle Appsの登場にはさまざまな影響の予測がされてきているようだ。

マイクロソフト、気をつけて――後ろにグーグルが
Look Out, Microsoft(原文)

 MicrosoftのOfficeとメールばかりでなく、Windowsの独占そのものを揺るがしかねない可能性を指摘している。もはやユーザがほとんど使わないような拡張機能を太らせた、ソフトウェアのハコ物の時代は終わっただろう。Webの画面で表計算を当たり前にできる時代が、CGIの頃から来そうな予感はしていたが、やっと現実化してきた。機能不足を心配する人は、そこでMicrosoft Officeを買えばよろしい。
 経験上、Officeに細かい機能を求める人は、プログラミングとか開発を自らはやらない人の方が多い。Excelマクロ(VBA)などは特にそうだろう。そういう人はお金で済ますか、あるいはOpenOffice.orgなどでも、今はかなり使えるようになった。


 ネットサービスで表計算なりが使えると、当然OSごとのアプリのソフトを購入しなくてもよい。実際Windowsを使うといっても、必要なのはWindowsアプリケーションであり、それがネットサービスで満足されるのであれば、もはやOSはあまり関係がない。ただ、Windowsはデスクトップの利用環境としては独占的だが、ネットワーク環境では全く主流ではない。ここが実際ネットを利用するときに歪められているところで、いろいろな悪影響が出ているところだ。
 ネットの標準的な環境であれば、Google Appsを利用することで、他のすべてのネットサービスと接続することが可能になる。実際Googleの他のサービスと繋げることができる。Microsoftではそこでライセンスの囲い込みがあるので、他のネットサービスとの連携が一筋縄ではいかないことになる。これはすでに多くの場面で経験済のことであり、分かっている人ほどMicrosoftから離れる要因にもなる。


 デスクトップアプリがネットサービスに移行したとき、懸念されるのがオフラインでの文書やデータの扱いだという。だが最近の情報漏えい対策などのセキュリティ面を考えれば、むしろオフラインには文書の痕跡を残さない方が都合がよい。これはディスクレス、コピーや印刷も不可の「シンクライアント」の発想とも結びつくことだ。少なくとも業務用ファイルはローカルには残さず、すべてサーバー側で管理する方がよい。さらに言えば、ベタなファイルで保存するのではなく、どんな文書も必ずデータベース化して保管するのがいいだろう。
 ローカルにファイルを残さないことは弱点ではなく、むしろセキュリティ上は望ましいことだ、という発想の転換が必要だろう。録画したビデオをオフラインのDVDで所持していなければ安心できないわけではなく、大容量のネットワーク上のディスクにいつでもアクセスできればよいだけだ。ネットが接続できないことが不安なら、重要な場ではバックアップ回線を持つことだろう。回線が繋がらないのも、ローカルのディスクが突然クラッシュするのも、似たようなリスクだろう。