米Yahoo! メール容量無制限に

 米Yahoo!がフリーメールサービスであるYahoo! Mailの容量を事実上無制限にするそうだ。当面、日本と中国市場だけは対象外だが、Webメールもだいぶ事情が変わってきたようだ。

米ヤフー、無料メールサービスの容量を無制限に

明らかに現在1アカウントあたり2.8GBの容量を提供するGoogleGmailを意識してのものと思えるが、2004年の春にはYahoo! Mailは100MB、後発のGmailが1GBの容量をサービスとしてから3年で、新たな競争段階を迎えたというか、メールそのものの存在価値をも考え直す時代にきているようだ。


 昨年秋に2.7GBのGmailが、それまでは招待制アカウントだったものが日本向けに自由登録が可能になったので、まっ先に登録をした。制限容量がタイマーのように時々刻々と増加して表示されるのも、何かほほえましい。大きな組織のメールだと、いまだに容量が5MBとか10MBという制限が付いているところも少なくないのだから。
 容量の大きさから複数のメールアカントを持つ場合、Gmailにすべて転送、集約すれば、いちいちアカウントごとにメーラーにログインする必要もない。それぞれのメールアドレスには、暇な時にたまにログインして、メールボックス容量がパンクしないように削除しておけばよいことになる。
 そんなわけで、最近はもっぱらGmail経由でメールアクセスをしている。そんなにGoogleを信用してもいいのかとも思うが、なんといっても削除する必要のない容量の大きさと、強力なスパムフィルタが魅力だった。問題といえば、メールごとに広告が表示されるくらいだが、これは無料サービスなのだからしかたがないだろう。


 Yahoo!のメールにも登録はしているが、上記の理由から日頃は「捨てメールアドレス」扱いである。それが米国内からとはいうものの、容量制限を付けないという。そうなると、そもそもフリーのメールで何をするのかということになる。容量の大きい画像やビデオなどの添付ファイルが増えたから、というサービスの表向きの理由だが、といって数10MB以上のファイルを自由に送りつけたりはできないだろう。だから「無制限」は「無限大」にはなりえないと踏んでいるのだろう。Gmailと容量制限のイタチごっこをしていても仕方がないという考えか。


 フリーで容量無制限、登録も制限なしだと、悪く考えればファイルサーバーに代わるただのファイルの置き場所、アカウントを共有すれば、Winnyではないがファイルの交換場所に利用できてしまう。組織内のメールサーバーでこれをやるわけにはいかないが、フリーなら無責任にできてしまいそうだ。ウイルス対策の不備の多くのマシンでやられると、ウイルスの温床にもなりかねない。


 気になるは、日本と中国が後回しにされる理由である。Gmailでは、むしろ日本がいち早く自由登録制になっており、他国は後回しになっていたはずだ。市場規模から考えて、世界的にGmailとの戦略的棲み分けをしようとするものだろうか。

 メールはインターネットの中では原始的なサービスだったが、Yahoo!に追随してメジャーなメールサービスがすべて容量制限がなくなれば、良い発想で考えれば、Web2.0に融合した新しいメールサービスの形態が生まれてくるかもしれない。制限がなくなるということはそういうことだろう。