中村ノリ開幕から活躍

 中日に育成選手として入団した中村ノリが、開幕前に支配下選手登録、開幕スタメンに名を連ねて、中日の連勝に貢献。なんのかんのでパ・リーグ5位のチームからセ・リーグの1位の球団のレギュラーとして移籍した形になった。年俸が一般サラリーマン並みの格安の600万円で契約したとはいえ、あの総スカンにされた騒動はいったい何だったのかと思わせるほどだ。
 もちろんプロなのだから、実力一本で評価は勝ち取るものだが、もう評価に値しない選手として事実上の解雇をした球団があったわけだから、その不明さに疑問を持たざるをえない。
 もちろん球団方針と合わない選手を置いておいてもチームの得にならないと判断したのならば、放出もやむをえないだろうが、他チームまで全く獲得の姿勢を示さなかった。ヤクルトは古田監督デビルレイズに移籍した岩村の抜けた穴を埋めるべく獲得に意欲を示したが、球団首脳が却下して見送った。開幕戦でその中村にやられてしまったのだから皮肉なものだ。


 結果的には、落合監督おそるべしとなった。中村の実力をどの球団も本音では評価しながら、牽制しあって手を出さずにいたところを、あえて育成選手という手段で採用し、中村にも甘えを許さず必死さを引き出させた上で、開幕から使い、ズバリ采配が的中した形だ。
 それだけでなく、球場で一番声援の多いのは中村だという。これでは生え抜きの高年俸選手もうかうかしていられなくなった。落合監督になってから強くはなったものの人気面が問題と言われてきたが、中村が中日に拾われる顛末すらドラマチックになり、人気面でも大きく貢献しそうだ。これで600万円なのだとしたら、プロとは何なのかと改めて考えさせられる。