井川、ヤンキースを救う!

 やってくれた、井川!全く予期できなかった緊急登板で6回を2安打無失点に抑える好投で、宿敵レッドソックス相手の最高の舞台でヤンキースの連敗をストップさせ、一躍ニューヨークにもその存在を知らしめた。「願わくば、井川がヤンキース投手陣の救世主になってほしかった」と昨日書いたばかりで、朝起きて録画中継を見たら、なんと井川が登板していることに驚いた。

連敗を止めた緊急登板の井川
Bombers see a special Kei

 ヤンキースファンの誰もが予想もしなかったであろう井川の活躍を、ニューヨークメディアも驚きをもって井川を讃えている。カーステンズは怪我の方のブレイクをしてしまったが、井川はヤンキースをブレイクさせたという、なんとも対照的なことだという。


 だが井川の方が、はるかにこういう修羅場の経験の数も違うのだから、冷静に考えれば当然の結果だ。7連敗で沈滞したチームのムードを上昇させ、投手陣にも活力を与えた。昨日は別人のように放心状態だったクローザーのリベラにもセーブの機会を与えるなど、単に井川自身の1勝以上に価値のある内容だった。
 その時々で好不調はあれ、たとえ不調であってもチームをなんとかして鼓舞するのがエースたるゆえんだろう。まさに今日の井川は阪神時代から培ってきた底力を見せつけたと言ってもよいだろう。ニューヨーカーから見ればカーステンズと争う新人投手にしか見えないかもしれないが、日本の20勝投手、沢村賞投手はダテではないことを証明した。


 そういえば、春のキャンプのときにキャッシュマンGMヤンキース首脳陣が、阪神キャンプ地を表敬訪問して、いろいろと井川のことを聞いた際に、岡田監督はあっさりと「2桁以上は勝つだろう」と言ってヤンキース首脳陣を喜ばせたという。阪神にしてみれば、出て行かれたのは痛いが、阪神のエースだったプライドを示せ、という思いもあったのだろう。


 今日で、確実にネットで話題の井川伝説がまた1つ増えた。シーズンは長いが、松坂に負けずに勝ち星を挙げていってほしい。