オープンソースはMicrosoftの特許を侵害?

 ネットの世界では、もはや主流になりえないMicrosoftだと思えるが、それを支えてきたオープンソース陣営に何やら毒づいているようだ。オープンソースに数多くの自社特許が侵害されているのだという。

MS、「オープンソースは235件の自社特許を侵害」と発言

 1件ずつ裁判にしているわけでもないだろうが、よく細かくチェックしているものだ。ソフトウェアの特許とか言い出したら、どこまでが特許といえるか甚だあいまいであり、プログラムのコードが全く同一でないにしろ、アルゴリズムが同じだとか言い出せば、何もプログラムを書けないことになる。デザインも同様で、見た感じが似ているというのなら、どうにでも言えるところだろう。
 

 そもそもソフトウェアのバクリとか言い出したら、Microsoftの歴史はパクリの歴史そのものだったと言えるだろう。そしてそれは誰もが認めているところだ。
 MS-DOSUNIXのコマンドをパクリ、WindowsMacやX-WindowのGUIをパクリ、インターネットではTCP/IPをパクってきた。SunからはJavaもパクろうとして100%Pure Javaではないと訴えられた。
 たとえば、細かい例では、Excelの表の範囲指定 A1:C3 のような記述にしろ、Lotus 1-2-3では A1..C3 となるところの横のドットを縦にしただけでパクっただけだろう。こんなことで「まねをした」「いや記述が違う」と争ったところで不毛な話なだけだ。


 パクるのだったら完全互換でパクってくれればまだよいのだが、Microsoftの場合、自社にのみ都合のよいように非互換にしてしまうところが悪質である。今のようなネットの時代では、その不整合性が他に悪影響を及ぼしやすいし、システム管理上では大きな負担となる。このへんがMicrosoftが技術者に嫌われる大きな理由である。

 UNIXの神であるRichard Stallmanは、ネットやオープンソースの時代よりはるか以前から、まさにこうした自社の利益のみしか追求しないソフトウェアのあり方を否定して、フリーソフトウェアという概念を提唱してきた。その思想は一見、現実離れしたユートピア思想のように思われたが、当時とは時代状況が違ってきたとはいえ、UNIXから派生したLinuxを中心として事実上、実現されてきたと言ってもよい。


 自分の知る限り、その状況に異を唱えているのは、かつてUNIXの商標を買収したSCOとMicrosoftくらいなものだろう。しかし、もはやオープンソースを否定するグループは、ネットの世界からは相手にされなくなると言ってもよいだろう。