ネット業界9つの仮説
楽天の三木谷社長が会見で、ネット業界の予測を9つの「仮説」で示したという。TBSが欲しい楽天が、いろいろネットのことで取って付けたような話を挙げているのだが、どうなのだろうか。
ネット業界「9つの仮説」――楽天・三木谷会長が示す
TBS向けのポーズの話で、どうということもないのかもしれないが「必ずこうなる」と大上段に構えられると、突っ込みの1つも入れたくなるというものだ。
まず、どうして「9つ」なのか。キリのよい10個目はいろいろ考えたが、うまくまとまらないということで諦めたのか。通し番号にしているが、内容的に順番の構成が理解しがたい。
「仮説」というのであれば、何がこれまでの「事実」であり、何が近い将来実現される可能性があることなのかを、順を追って示すべきだ。また技術の話とマーケティングの話と世の中の話がごちゃ混ぜになっていてわかりにくい。だから楽天がTBSを手にいれるべき、という話にはなりにくい。
「事実」
- 光ファイバー普及、デジタルTV、TVのネット接続、PC・携帯のワンセグ
- TV、PC、携帯とネットはごく普通のインフラ
- 一方向の配信から双方向の配信が一般化
- 日本発のコンテンツは世界で通用している
- 著作権も見直しの時代
「マーケティング」
- コンテンツのパーソナライズ化
- 広告もパーソナライズ化
- ネット広告が広がり広告主もその効果に関心を持つ
という流れの話と思うが、ネット業界の話というより広告の話なのだろう。ネットの事実では、当たり前のことしか言っていないし、かのホリエモンが「放送とネットの融合」と偉そうに言っていたのと同じレベルの世間話程度の話だ。ネットの広告といえば、Googleがすでにビジネスモデルを確立させている。
それと「コミュニケージョンがエンターテイメント化する」というのはSecond Lifeみたいなものを想定しているのか。
楽天はホテル予約などで利用しているが、ほとんどスパムの広告メールの山には閉口させられる。楽天市場の顧客の個人情報流出事件についても、うやむやになった感じだ。ネットは公共の場なのであって、1企業がやりたい放題にふるまう場ではないのだから、もう少しネット企業としての正しい姿勢を考え直した方がよいのではないか。
テレビ局も電波の既得権をもとに、視聴率さえ獲れれば何をもやっても構わないという姿勢が批判されているご時世だが、それを欲しがる楽天も同じようなものだと思われても仕方がないだろう。