画像掲示板の閉鎖

 いったい、いつの時代の話なのかと思えるような事件だが、画像投稿サイトの管理人が逮捕され、その影響でさまざまな画像交換サイトも自粛の閉鎖に追い込まれているという。

「画像ちゃんねる」運営者の逮捕後、画像掲示板の閉鎖相次ぐ

いわゆるアダルト系サイトに分類されるのだが、猥褻物陳列という発想自体が時代遅れという気がしてならない。
 そもそも今の警察ないし当局は、ネットの世界に対して何の秩序を守ろうしているのだろうか。リアル世界に明らかな危険を与えるとか、青少年が犯罪に巻き込まれるとか、暴力団の資金源になっているとかならともかく、大人からみれば「アンタも好きね」くらいの嘲笑で終わるような話である。子供に悪影響というのなら、出会い系サイトの存在と同じく、それは大人も含めた倫理と教育の話である。


 今回摘発されたサイトは、国内では最大規模の掲示板だけに「見せしめ」にされたという見方がもっぱらである。目立つと叩かれるというのか、ホリエモン逮捕に近いものを感じる。
 逮捕されても、法律的にも、世の中の風潮的にも有罪にはなりにくいだろう。そうすると有罪かどうかよりも、ときどき「逮捕」したという実績で、警察が存在感を示したいだけではないかと思える。


 インターネット初期の頃にはFLマスク事件というのがあった。画像のモザイクを消すソフトの開発者が逮捕されたもので、猥褻物陳列の幇助にあたるということだったと思うが、このときは違法なアダルトサイトへのリンクを張っただけでも罪になるかどうかということが問題にされた。結局は無罪になったと思うが、このときもサイバー警察の存在を知らしめることになったように思う。

 最近ではWinnyの開発者も逮捕されたが、容疑の動機は著作権法違反幇助の疑いだけではなく、違法なアダルト物のファイル交換も含まれていたことは明らかである。

 今回のことと共通しているのは、不特定多数の人が出入りするネットという特性上、開発者や管理人にまで罪を着せられるのかという点である。どうも摘発する対象がズレているとしか思えない。


 現在で言えば、金や性のことを釣りにした、フィッシング詐欺個人情報流出、ボット感染、スパム発信などのセキュリティの問題の方が、はるかに深刻な問題である。アダルトさえ取り締まればネットは健全だと思っているのだとしたら、やはり時代遅れな話ではある。