ネットワークストレージと著作権

 注目URLでも人気の「痛いニュース」にも取り上げられている音楽著作権に関する裁判で、画期的な?判決が出たようだ。批判する気力さえ沸いてこないような内容である。

音楽保存サービス:ストレージ利用は著作権侵害 東京地裁
ネット上にデータを保存するサービスはすべて著作権侵害で違法です

 ネットからの批判は当然のことで、大多数の分別ある人間の直感的判断の方がおそらく正しい。法律を厳密に解釈すれば、と言うのであれば、それは法律の方が明らかに時代遅れになっているのである。その時代遅れのものにしがみ付いて、いつまでも既得権を主張しようとする集団も、まだまだ社会には根強く残っていることも確かなのであろう。


 今回の件は、JASRACと裁判官の不明さが批判の対象のようで、そこでは著作者自身や利用者の意思が全く置き去りにされている。なにか判決は特待生制度を否定した高野連の対応そっくりである。教育する学校と生徒や親を置き去りにして、日本学生野球憲章なるものを金科玉条として振りかざす高野連と同じようなものだ。
 中国のようなそもそも著作権なる概念が存在しない国も困るが、日本も相当頭の固い人たちで固められた著作権問題の後進国なのではないかと思わせられる。


 ネットワーク側から見れば、昔はレコード、テープ、CDからDVDなどのオフラインメディアが、データや著作物の保管対象だったが、現在では、ネットの普及と大容量記憶で単価が安いハードディスク(ストレージ)が結局主流になっている。
 Winnyのような不特定多数の人とのファイル交換でなくても、普通に録画したりファイルを転送したりすることも、ごく当たり前の操作になりつつある。もはや著作物や音楽を入れる”モノ”が見えなくなったから、強引にアップロード/ダウンロードという操作をすべて著作権侵害行為にしてしまったわけだ。


 利害がからむ特定の二者だけの裁判なら勝手にやっていればよいが、あまりにも世の中全体の風潮に逆行するような裁判も困る。凶悪な母子殺害の事件での死刑廃止論者の弁護団の詭弁のような、嫌なものを感じた。