昭和の伝説・巨人V9戦士集結

 もはや昭和の伝説と化した巨人の栄光の時代の日本一9連覇V9のレギュラーメンバーが、巨人設立5000勝記念イベントのために、試合前の東京ドームに集結した(現役監督の王監督のみ不参加)。

集結!伝説の戦士たちユニホーム復刻(スポーツ報知)

もう30年以上前の、おとうさんやおじいさんの青春時代の話になった。お茶の間で見られるテレビで中継されるプロスポーツといえば、野球とプロレスくらいしかなかった時代で、全国中継では巨人戦しか放映されていなかった(今でもあまり変わりはないが)。そこに常勝とくるのだから、全国規模では巨人しか人気が出ようのない時代だった。


 ウグイス嬢のアナウンス的に黄金期の先発オーダーを挙げると、
1番・センター・柴田
2番・セカンド・土井
3番・ファースト・王
4番・サード・長嶋
5番・ライト・末次
6番・レフト・高田
7番・ショート・黒江
8番・キャッチャー・森
9番・ピッチャー・堀内


当時は、巨人だけは外国人選手はおらず、野手も全員生え抜きのメンバーだった。それも長く人気を保てた要因だったかもしれない。


 長嶋と王がスーパースターで、それを盛り立てるようにに他のナインが名脇役を果たしていた。当時の巨人人気を表す言葉に「好きなもの、巨人、大鵬、卵焼き」があった。ちなみに卵焼きというのは当時の子供の弁当のおかずの人気第1位だったかららしい。

 闘病中の土井氏も車椅子で参加したそうだが、熱烈な巨人ファンで「野球は巨人、司会は巨泉」と言っていた大橋巨泉が「王・長嶋倒れ、堀内打たれても、巨人には土井がいる」という、いぶし銀の存在感を持つ選手だった。その精神を受け継いで、最近で近いのは川相であろうか。


 実は集結したメンバーで最も矍鑠(かくしゃく)としていたのは、最高齢87歳の川上監督ではなかったか。スターばかりのヤンキースのようなメンバーばかりで、勝って当たり前と見られていたとはいえ、逆に個性の強い選手ばかりを長い期間まとめ上げてきた威厳さえ感じられる。「ここまでいい形で来ているけど気を緩めるな!引き締めていきなさい」と激励したそうだが、その一言にも偉大な監督の重みを感じさせる。


 日本の高度経済成長時代と重なったこともあるが、スポーツが多様化した現代では、プロ野球の隆盛がこの時代のように戻ることはないだろう。ここでも昭和は遠くなりにけりだろうか。