Yahoo!の業績低迷

 米国Yahoo!が業績低迷で株価を下げた結果、株主総会でいろいろと紛糾したようだ。業績が下がったとはいえ、巨大な企業であることには変わりはないが、株主からすれば株価とともに、Googleにトップを明け渡しているのが我慢ならないということらしい。

ヤフー、年次株主総会を開催--業績低迷で株主から非難

 もともとYahoo!の起業以来の象徴でもある検索エンジンは、いまや後発のGoogleに完全に取って代わられた形だ。ネットの初期であれば、検索といえばYahoo!であり、Yahoo!のディレクトリに登録してもらうことが、IT化されている企業の1つのステータスになったりもした。
 国内では、ソフトバンクが独自路線を取ったせいもあるが、株価1億円を突破するなどというITバブルを演じたりもした。


 その後、Yahoo!は単なる検索エンジンというより、さまざまなネットサービスの入り口とでもいうべきポータルサイトの役割を追求していく。検索エンジンの方は、後発のGoogleの優秀さを買い、ロボット型検索の部分は「Powered by Google」という形で、Googleと提携していた。この結果、実質的にYahoo!の検索の6割方はGoogleがやっていることになっていた。
 そのGoogleが業績を伸ばしてきてライバル関係になってくると、Googleとの関係を切り、再び独自の検索エンジンを採用するようになったようだ。だが、このときすでに手遅れだったようだ。Yahoo!Googleが同じ検索結果を出すのであればYahoo!で検索するのもよいが、別物ならばGoogleの方で検索した方がよいという流れになってしまっていた。


 まさに「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」の典型である。かつてIBMが、PCのOSという軒先をMicrosoftに貸して伸し上がられたことに似ている。ITの世界では、ほんの少しの油断が大きく運命を変えることになりかねないようだ。

 少なくとも米国市場で、今後Yahoo!が検索部門Googleを抜き返すことは考えにくい。とすれば、リターンマッチは国際市場のネットサービスで、ということになるのだろう。特殊な日本市場では、いまだに検索部門ではYahoo!がトップのようだし、巨大市場である中国でのビジネスの主導権を握るべく、法的な面で政府レベルにまで働きかけていると見てよいのだろうか。


 それはともかく、米国企業では成長が下降気味になってくるとありがちなように、以前に噂のあったMicrosoftによるYahoo!買収がある日突然に発表、などという展開が現実味を帯びるように思えてくる。