警察から過去最大の捜査情報流出

 大きな組織での個人情報漏洩がしばしば社会問題化しているが、またとんでもない事態が明らかになったようだ。警察官のPCから、Winnyで大量の捜査情報が流出したという。

警視庁の情報1万件が流出…巡査長PCウィニー感染で
私物PC管理の限界、浮き彫り…警視庁・捜査情報流出
過去最大か警察情報流出 同僚間で複製常態化

 ただの個人情報と違って、犯罪に関係する生々しい情報だけにその影響の深刻さも想像がつかない。いったん流出してしまった情報は回収ができないだけに、誰かを処分したり責任者が辞任したからといって済む問題ではない。


 「私物PC管理に限界」とか「とにかくウィニーは使うなと、あれだけ言っても言うことを聞かない人がいる」とか、そもそも警察上層部の根本的な考え方がおかしい。今どき、一般企業ですらやっていないことだ。警察にはセキュリティの専門家はいないのだろうか。もしそうならば、一時の恥を忍んででも、専門家にコンサルティングを受けた方がよいだろう。


 Winnyが問題とか、警察官がPCの操作や設定に不慣れだ、とかいう問題では全くなくて、たとえば紙の極秘捜査情報ファイルを自宅に持ち帰って、漫画本やエロ本の間に無造作に挟んでおいたようなものだ。そして誤って、古本といっしょに回収業者に出してしまったようなものだろう。
 警察や自衛隊のようなところは物理的、体制的にもっともセキュリティが厳格であるべき組織であるのに、それだけ公私混同が甚だしいということを暴露してしまったようなものだ。


 警察も予算が少ないから、捜査に必要なPCに警察官の私物PCを使わざるをえないとでも言うのだろうか。話は簡単で、私物PCは警察内には持ち込ませない、警察官の使用PCはネットに繋がない、ハードディスクやリムーバブルメディア装置は装備しないことである。後をどうするかは専門家に相談すればよい。


 ネットが普及したことによって、犯罪も複雑化して捜査が難しくなって検挙率も下がっている、などという以前の問題である。ネット上での、ちょっとやりすぎではないのかと思えるような、アダルト画像サイトの管理者の逮捕などをやっている暇があるくらいだったら、自らの組織の綱紀粛正を徹底している方がいいのではないか。国民の生命や安全を守るのが使命の組織としては、あまりにも杜撰すぎる。