斎藤連投で早稲田が大学野球日本一

 やはり見かけはともかく、怪物だと言っていいのだろう。早稲田の斎藤佑樹投手が準決勝に続き、決勝でも先発し、見事に早稲田を大学野球日本一に導いた。

佑ちゃん、高校と大学で日本一! 早大33年ぶりV

 それにしても早くから早稲田のキャンプに参加していたとはいえ、正規に大学に入学してからまだ2ヶ月半である。もう大学で頂点を極めてしまったら、残りの大学時代はどうするのだろうと、いらぬ心配までしてしまいそうである。
 もともと野球の実力は超高校級だったとはいえ、甲子園から続く不敗神話は、大観衆やピンチのプレッシャーをものともしない超アマチュア級の精神力がずば抜けているからなのだろう。
 逆に相手の方が、斎藤目当てに集まったマスコミや観衆の前に飲まれ、力んで自滅してしまっているようだ。


 しかし、あれほど歴史があるのに早稲田の大学日本一は、なんと33年ぶりの3回目に過ぎないのだという。毎年のように個々にはプロ野球選手を輩出しているにもかかわらず、チームとしての優勝はいかに難しいかということだろう。
 それを打破するには実力だけではない、何か強力なモチベーションが必要なのだろう。一身に注目を浴びるスーパールーキーの斎藤が入学したことにより、全員脇役に追いやられた形の早稲田ナインに奮起と結束を促したことになったのだろう。

不協和音も実力で封じる!佑ちゃんの存在に早大上級生が奮起

 体育会系でも野球などは特に上級生、下級生の上下関係は厳しい中で、入学したばかりの1年生が上級生や監督を実力で納得させるのは相当なことだ。怪物と言われた江川氏以来くらいではないか。過去には甲子園で優勝した投手が、野球部に入部はしたが体質になじめず、退学したような例もあるのだから。


 パイレーツの桑田が多数の報道陣を引き連れているのを現地では驚かれているが、桑田自身は「自分は15歳の頃からずっと経験していることなので」と意に介さない。その桑田も当時ドラフトのドンデン返しがなければ早稲田に進学することいなっていた。もしあの頃、桑田が早稲田に行っていれば、今の斎藤のようなタイプだったのではないかと想像する。というより、将来的に斎藤は桑田タイプの投手になっていくような気がする。


 宿命のライバルになりそうな楽天の田中投手も、昨年のセ・リーグ覇者の中日相手にプロ入り初完封勝利を挙げた。ますますこのライバル2人の動向が、将来の日本の野球の命運の鍵を握っていきそうな趣である。