PDFとFlashの融合
PDFやFlashのファイルフォーマットを有するAdobeが、PDFとFlashを融合した製品を出すという。有償ソフトだがらビジネス向けだろうが、この2つのフォーマットを変換するメリットは何なのだろうか。
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PDFといえば、今や印刷用文書のデフォルトのファイル形式であるといってよい。WordやExcelで文書を作成して原稿として提出するにしても、最終的にはPDF形式にして文書を渡すケースが多い。WordやExcel形式のままだと改ざんされたり、文書ファイルを流用される可能性もなきにしもあらずだから、事実上「画像」にしてしまって相手に渡した方がよい。ただし、ちょっとした誤植を訂正したいような場合でも、いちいち元の文書を訂正して、またPDF文書に変換し直しということを繰り返さなくてはならない。
もっと問題なのは、PDF文書に変換するのにAdobe Readerではなく、Acrobatのソフト(Distiller)が必要だったということだ。そのために職場のすべてのPCにAcrobatをインストールしているところはないだろう。都合のよいプリンタに接続されたPCみたいなところにインストールしておくだけだ。
ところが、いろいろな出先で、急遽PDF文書に変換する必要が生じたときが困る。AcrobatがインストールされているPCを探し回ることになる。
実際にそういうことがあって、たまたま持っていたPCがWindowsとLinuxのマルチブートになっていたので、思いついてLinuxを起動してOpenOffice.orgからWord文書を読み出し、PDF形式に変換して事なきを得た。元のWord文書がやたら罫線だとかを含む複雑な文書ではなかったので、OpenOffice.orgでも書式が乱れることがなかったのが幸いした。
そんなときは、こんなソフトでも持ち歩くノートPCに入れておけばよいのだろうか。
ソースネクスト、Vista/Office 2007対応のPDF変換ソフト 「いきなりPDF Professional 3」
Flashの方はWebのアニメのSWF形式はともかく、ビデオのFLV形式の方はYouTubeで採用以来、一気に普及してきそうなところだ。
そのAbobeにアドバンテージがあるPDFとFlashを融合させて、さらにアドバンテージを握ろうというのだろうか。印刷用であるPDF文書をFlashアニメ形式に変換して、オンスクリーンのプレゼンに利用できるということなのだろうか。逆(Flash→PDFのコマに分解?)は考えにくいし、必要な用途もあまり思いつかない。
それに、印刷用の細かい文章をスクリーンやモニターで見せられても、あまり見栄えがしないと思うし、もともと異種のものを融合しているような気もする。使ってみないことにはよくわからないものかもしれないが、ビジネス用途でも需要はあるのだろうか。よく見ると価格もトンデモないことになっている。
それこそ、YouTubeの動画編集ではないが、Webサービスにしてしまって十分に思える。もっとも企業の重要文書をネットを通じて外部に流すようなことはしたがらないだろうから、内部のサーバー向けということになるのだろう。それにしても、この価格はないだろう。