平成19年版情報通信白書

 総務省の平成19年度版情報通信白書が公開された。先に公開されたインターネット白書と合わせて比較すると、日本国内外のネットの動向が大まかに把握できるのだろうか。

平成19年版 情報通信白書
ユビキタスの進展でGDP成長率1%引き上げも〜2007年版「情報通信白書」

情報通信白書は伝統的な書籍とともに、HTML版とPDF版としても公開されている。内容は書籍と同じものではないようで、簡易版のような構成だろうか。ちなみに上の総務省のサイトはかなり重い。


 情報通信のことでも、相変わらず役人の好みそうな白書なるものの文章は面白くない。舞台裏としては、どこかのシンクタンクが下請けで白書を作り、役人が監修するような形になっているのだろう。統計を論評するのが主たる目的だろうから、内容的にはあまり専門的ではないが、かといって一般向けでもない。それでも内容を書籍を買わなくても、ネットでも見ることができるのはありがたい。


 実はこの手の資料で一番ありがたいのは、わかったようなわからないような文章でもなければ、掲載されているグラフでもない。Excelファイルで公開されている集計データである。生データが手に入れば、他のデータなどと組み合わせたり、比較したりして、独自の分析も可能になるからである。
 分析というほど大げさではないにしろ、自分のブレゼンには都合のよい分析を「デッチ上げる?」ことも可能だからだ。これが出来上がってしまっているグラフなどではそうもいかない。最悪なのは、おおまかなグラフだけで数値もよく読み取れないようなデータである。


 ちょっと話ははずれるが、本来の意味でExcelを使いこなせるというのは、このような素のデータが与えられたとき、さまざまな表やグラフを加工できて、多面的にデータを眺めることができることだろう。ただ本当にそういう使い方ができる人は、それほど多くはないかもしれない。


 HTML版とPDF版をざっと見ただけで、書籍の白書は見てはいないが、目次だけで見る限り、話題的にYouTubeSecond Lifeだと面白そうなものはコラムの部分のようで、HTML版では見られないようである。
 こちらも有料なので、Webでは内容が見られないインターネット白書の方が、個別の話題的には掘り下げているようだ。


 今の時代、電話帳ではないが、毎年書籍としては買う気にはなれないので、なるだけ元データをネットで自由に提供してほしいものである。