ライブドアがGmailに移行

 ライブドアに特別な思い入れはないが、ユーザ向けの無料Webメールサービスを全面的にGmailに移行させるという。非ネット系の企業ならいざ知らず、国内の大手プロバイダやポータルサイトとしては初めてのことだという。

大手ポータル初、ライブドアが無料メールにGmailを全面採用(CNET Japan)

これはどういうことを意味するのだろうか。ライブドア事件のことは別にしても、IT部門あるいはネット部門の縮小化、切り売り的なことを意味するのか。無料とはいえ、ライブドアメール中心の顧客を事実上、Googleに売り渡すことになるのだろうか。同じ規模の企業同士だったら提携と見れなくもないが、どうもメール部門Googleによる吸収に見えてしまう。ライブドアは月数千万円のコスト削減だというが、そんなレベルの話ではないだろう。


 インターネット初期の頃、ドメイン名を獲得さえすればメールサーバーも独自に簡単に立てられたものだった。ところがメールを利用するユーザが増えてきて、組織などでは全員にメールアドレスを持たせる段階になっては、もはやボランティア的にメールサーバーを運用するのは不可能になり、ドメイン名だけ預けて、プロバイダなりにアウトソーシングするようになった。
 なにしろ、メールは届いて当たり前であり、もし届かなかったり、なんらかの原因で遅延や消失が起こると管理者に苦情が来る。メールサーバーがダウンしている間にビジネスチャンスを失うとまで言われた。加えて、メール爆弾とかウイルスだスパムだとか困難なことがどんどん起きてきた。初めは便利だろうくらいの感覚でメールサーバーを立ち上げたのが、これではたまらない。
 ネットがわかっている管理者ほど、いち早くメールサーバーの管理は放棄したと思う。末端はともかく、今ではメールサーバー運用はセンター業務である。


 そして組織のメールを一手に引き受けているプロバイダとかホスティングサービスが、ついにGmailのようなグローバルなメールに運用を投げてしまうようになってくるのだろうか。一般向けの無料のWebメールなどはスパムの温床ともいえるもので、ポータルサイト側としても、今ではサービスとはいうものの、手放したいサービスになっているのかもしれない。


 Webメールなどは手軽さはあるが、スパムのイメージが強くて、まともなメールとしては使えないと思っていた。しかし昨年の秋にGmailが国内で登録できるようになってイメージが変わった。以後、複数あるメールアドレスにも、ほとんどGmailからアクセスするようになった。Thunderbirdもインストールはされているが、最近はほとんどログインすらする必要がない。Gmailに転送して元のメールサーバーにメールを残していないから、ログインする必要もないからである。
 確かにメールサーバーがインターネットの外にあること、広告がメール画面に出て、機械的とはいえ、メール文面が検索されているんだなという、少し気持ちの悪さはあるのだが、便利さの方がはるかに大きい。Yahoo!メールのアカウントも持ってはいるが、捨てアド扱いである。


 ライブドアあたりが、割り切ってWebメールGmailにユーザごと売り飛ばしたことは、また1つGoogleが日本国内に根を下ろしたことになるのか。そういえば、ドイツなどではGmailの商標をめぐってGoogleが敗訴して、Gmailという名前は使えなくなったそうだ。欧州あたりは米国企業にイニシャティブを取られるのを嫌う一面が見える。


 Google Appsが企業や大学に導入され、デジタル図書館プロジェクトに進出などと、Googleにとっては、日本は企業戦略を展開しやすいマーケットなのだろう。自分もそれに微々たる貢献をしてしまっているのも、なんとなく複雑な気分ではある。