ネット利用動向調査の新指標

 かつてテレビの視聴率調査で大きな影響力を持っていたニールセンによると、ネットに利用動向について、これまでのページビューでなく、新指標である「総利用時間」を使う方がよいという。しかし、問題はないのだろうか。

ネット利用動向調査に新指標、ネットレイティングス(@IT)

この国内の最新ランキングを見ると、1位から4位がyahoo!mixi、rakuten、YouTubeとなっていて、これは利用感覚的にも、まあ納得できる範囲ではある。
 以下は国内検索サイトや大手プロバイダなどと、検索すると上位に現れる2chWikipediaが続くのもそんなものかというところである。


 だが、ちょっと待て。Googleが12位とはどういうことか。それも国内で人気のあるYahoo!はともかく、検索サイトとしてもgooやInfoseekよりも下である。10年前ならいざ知らず(そもそもGoogleが存在しないが)、これは利用感覚的にも認められない。記事の中にもGoogleが下位に位置づけられていることに何の言及もない。


 裏を返せば、いかにGoogleの基本戦略が反映されているかということの証左ではないか。Googleの検索サイトは、いかに迅速に情報を探し出し「ユーザはアクセスするや否や一瞬にしてサイトを立ち去る」ことができることをミッションとしているからである。
 一般サイトにしろポータルサイトにしろ、提供するコンテンツでいかに長い時間留まってもらうかに腐心する。動画などはいったん再生が始まると、かなりの時間同じページを見入ることになる。


 Googleは全く逆だ。アクセスしてもらってからの滞在時間が短いほど、検索が短時間で実行され、ユーザの目的のサイトへのリンク先情報を提供することに成功したことを意味する。

 最近はGoogleもさまざまなWebサービスが次々に提供されているので、検索だけの時代とはまた事情は変わってきているかもしれないが、その中核技術であるAjaxの利用時間はどう反映されてきているのだろうか。いずれにしてもサービスが増えた割には、やはり時間は増えていないということだろう。


 したがってこの調査を見る限り、この指標は現状ではGoogleだけには使えないということになるのではないだろうか。「利用者人数」や「アクセス数」だけでみれば、余裕でトップに来るはずなのに、テレビみたいに「視聴者がいかにチャンネルを変えずに時間を過ごしたか」を絶対的な指標とすることは、ネットにはもはや当てはまらないことを意味しているのかもしれない。