松井、子供の夢を乗せるホームラン

 やっぱり松井だ。暑い時期になってホームラン量産を続ける松井が、記録ばかりでなく少年達に夢を与えるホームランを2発も達成した。

松井約束の20&21号…まさに絶好調7月13本!(ZAKZAK)

子供の頃に読む偉人伝に必ずその1人として登場するベーブ・ルースの話に、病床の少年との約束でホームランを打ったというくだりがある。真実よりはだいぶ脚色された話なのだそうだが、ホームランを打っただけなら、たまたま打てたということなのだが、予告通りに、しかも純真な子供との約束を守ったということが伝説たるゆえんになるのだろう。子供にとっての英雄やヒーローは決して嘘はつかないのである。


 病床にあったわけではないが、たまたまニューヨークを訪れていた松井の地元の野球少年達に、衆目の場で「明日はホームランをお願いします」と言われて苦笑いした松井だったが、見事に2本もその約束を果たしてみせた。2本打ったのもルースと同じである。それを球場で直に目撃した少年達には、おそらく松井は永遠のヒーローとして一生記憶に残り続けるだろう。また周囲の人たちにも、それを実現させた松井への尊敬が残ることだろう。松井がホームランを打った日は、なんとなく元気が出るという大人だって多い。お父さんやお爺さんの頃は長嶋茂雄がそういう存在だった。それこそが本当のプロというものだ。

 技術やパフォーマンスも大事だし、銭金のこともあるだろうが、やはりプレーを見ている人に感動や感銘を与えられなければプロとはいえない。子供ばかりではなく大人から見ても「さすが松井だ」と思わせる場面を、今後もいくつも実現させてほしい。


 さて、今年のヤンキースプレーオフ進出は、どうなることだろうか。