猛暑の原因は何か?

 全国各地で猛暑が続いている。それも「観測史上の最高気温を記録」などという発表ばかりである。大きな高気圧が太平洋側に居座り続けているのが直接の原因のようだが、必ずしも北から南に順に気温が高くなっているわけではないようで、日によって全国最高気温を記録する地域が異なっているのも特徴である。また、今夏が暑いのは日本ばかりでなく、欧米も含んで世界的なことのようである。


 今年は特に地球温暖化の影響が何かにつけて言われだして、人間社会の将来にも危機感が煽られている感じである。つい10年ほど前までは、専門家でさえも地球温暖化の説を疑問視する向きもあったと思うのだが、今や本当に誰しもが認める「常識」になったのだろうか。
 
 という素朴な疑問を感じるのは、このような猛暑が続くと、「暑い」=「地球温暖化」という短絡的な思考がさも説得力を持つところがおかしいように思えるからである。地球温暖化によってどのような影響が回りに回ってくるのか、ということが詳しくは知られていない、あるいははっきりとは証明されていないのかもしれない。


 昔、といっても最近リバイバルされたようだが「日本沈没」という映画化もされた小説があった。これは太平洋側の地震の原因となるプレートに、日本列島が飲み込まれて消滅するというものであったが、同じように地球温暖化によって北極や南極の氷が解け出すと海面の水位が上昇して、日本が海の中に沈むというものもあったと思う。つまり、地球環境の変化以前に陸地がなくなってしまって大変ということだった。
 さらに言えば、自分が子供の頃は、地球は周期的に氷河期になるから、いずれまた氷河期が来たとき人類は生き残れるかどうか、マンモスのように絶滅するかという話さえあった現在と全くあべこべの話である。なので、どうも地球レベルの話や宇宙レベルでの話は、短絡的な説明は受け入れがたい。


 そこで、今年の猛暑の原因を考えてみるに、エルニーニョだ、その逆のラニーニャだと言われる。海流の異常な変化が世界各地に気候の変動を引き起こし、いわゆる異常気象が観測されるようになる。これはいわゆる温度の「ゆらぎ」の現象だろう。つまり平年の気候に対する誤差をもたらすものであろう。誤差であるなら、今年は暑かったら来年は今度は寒くなることもありうる。平均すれば平年並みということになるからだ。問題はこの誤差がだんだん大きくなっているということではないのだろうか。つまり極端に猛暑の年があれば、極寒の夏もありうるということである。地球温暖化になってきていれば暑くなる一方だと思うのは間違いである。年によって暑くなったり寒くなったり、あるいは1年の中でも寒暖の差が大きくなるというのが正しい解釈のようにも思える。


 ちょうど風呂の中の温度が上昇してくると、部分的に暖かい部分と冷たい部分が接して温度がふらつくようになり、ある限界を超えると大きな対流が起こってしまう。現在はそのような沸し風呂の初期の段階のようなものなのだろうか。少なくとも100年以上単位の話のような気もするが、最近の地球温暖化関連の報道では、それが数十年単位くらいにどんどん縮まっている。決して楽観しているわけではないが、どうも信憑性のある話はどれなのか疑問なものも多い。やみくもに危機感を煽っても仕方がないことではないかと思える。それに本当に危機的な事柄は、社会的パニックを引き起こしかねないので、むしろ伏せられるのではないかとさえ思える。


 いかに科学が進歩したとはいえ、地球規模の変動はどうしようもないので、人間だけで可能なことは愚かな戦争や核開発などでの無駄なエネルギーの排出や自然破壊をやめること、森林を人間社会と共存できる形で再生することの方が、よほど近道であるように思える。だがいつになっても、その単純なことができないのが人間社会であるということを感じさせて、暗澹たる気分になる終戦の日である。