再び朝青龍に格闘技転向説

 連日のように朝青龍のことをモンゴルにまで追跡して、ああだこうだと報じている。まるで安倍内閣の是非と同じくらいの比重の扱いである。日本の国技だから、などという建前などは問題ではなく、マスコミとすればスキャンダラスにスクープにさえなればよい、という意図があるようにしか思えない。
 この期に及んでもストレス障害と報じられたときと、何も状況は変わっていないと気がついた。


 マスコミは横綱審議会が「引退勧告も」などと、よほど朝青龍をヒール扱いにしたいようだが、そんなことをしていると、これまでは半分冗談ネタだった格闘技転向説が、俄然、現実性を帯びてくる話になりそうだ。

朝青龍、格闘技転向?8試合10億円オファー情報 (ZAKZAK)

元プロレスファンから見れば、契約金の額云々はともかく、全くありえない話ではない。いまのところはフジの飛ばし記事かもしれないが、東京スポーツは、昔からほとんどの情報がガセだが、このての情報を追うには最も正確なソースである(笑)。


 これまで大相撲からプロレスや格闘技に転向した横綱は、皆相撲界で何らかの問題を起こしてきた人達ばかりである。力道山時代の東富士に始まり(ちなみに高砂部屋だった)、年寄り名跡を借金の担保にした輪島、親方のおかみさんを足蹴にした北尾、そして曙である。裏を返せば、そういう前例もあるから転向の道も開かれているとも言える。

 だいたい猪木が表立って朝青龍に接触しているということは、すでに裏では各団体の綱引きが行われている証拠であることは、これまでの歴史が証明している。相撲ファンや一般の人にはピンと来ない話ではあろう。


 朝青龍の様子を会見で話していた実兄のスミヤバザルは、モンゴル相撲の横綱であり、すでにK-1やプロレスのリングに登場している。また次兄は新日本プロレス所属のレスラーだった。一族挙げて猪木や日本の格闘技界とは深い繋がりがある。朝青龍本人と一族の合意さえあれば、サポートする関係者を含めて転向は容易に進むだろう。そこには相撲協会も親方も、ましてや格闘技素人のお偉方の集まりである横綱審議会など、全く口を挟む余地はなくなるだろう。


 朝青龍の勝手な行動が批判されてきているが、格闘技の世界では強いことが正義であり、リング外で悪役を演じることは何も問題がない。北尾にしろ曙にしろ、強さを証明できなかったことで失敗した。相撲最強のままで転向したとしても、その強さを格闘技の世界でも本当に発揮できるかだけが問題になるだろう。ファイトマネーなどは、勝てば自ずと付いてくるものである。


 どちらにせよ朝青龍は日本に帰化して親方になるつもりはないだろうから、遅かれ早かれ格闘技転向は考えるだろう。相撲界的には厄介払いになるかもしれないが、格闘技界的には大盛り上がりになる。とは言うものの、本人に本当に転向する気があるかどうかである。