ボットネットはスーパーコンピュータを凌駕する

 近年、不気味にサーバー系に侵入・潜伏しているといわれるボットの大規模なネットワークは、計算能力にしてどのくらいのものかという算定がある。現状で、最速のスーパーコンピュータも超えるだろうとのことである。だが、このような評価にどれだけの意味があるのだろうか。

「Storm Worm」ボットネットの計算能力、スーパーコンピュータを凌駕

ここ1年ばかりは、Storm Wormという欧州を襲った暴風雨の名前の付いたトロイの木馬とその亜種の感染率が高いらしい。その手口はともかく、感染するとスパムを大量発生させる能力が高いらしい。感染したコンピュータ同士が連携を取り合っているなら、ボットネットワークとしての能力も増す。


 そうしたことからスーパーコンピュータとの能力との比較の発想になったのだろうが、スーパーコンピュータより、こういうネットワークはグリッド・コンピューティングと比較すべきだろう。単体のマシンは非力でも、遊休のリソースを提供しあって、1つの目的の計算を協力して行うものである。学術的なプロジェクトなどで多いが、募金活動のようなものか。


 というより、もともとグリッドコンピューティングのアイデアを見たとき、ウイルスのようなものだなと思ったことがある。その差は、目的が健全なものか、悪意のあるものかどうかだけである。ウイルスやボットを開発する人は、健全なソフトウェアを開発する発想を持っていたら、さぞかし活躍できたかもしれない。しかし原子力しかりで、核兵器開発をして他国に脅しをかけるならず者の国もあれば、平和利用しようとする国もある。技術は共通でも、人間的な部分で相容れないものなのだろう。