Googleの面接試験問題

 注目URLGoogleの面接試験の内容がネタになっている。Googleといえば、国内でも東大の情報系の学生を根こそぎ持っていったとか、有能な人材を入れていることは確かなのだろうが、実際どんな就職試験をされるのか、就職活動当事者の学生ならずとも、野次馬的にも関心のあるところだろう。

Googleの面接試験、一体どのような質問をされるのか?(GIGAGINE)
Crazy Questions at Google Job Interview

筆記試験にしても難しそうなところを、面接の口頭試問だそうだからもっと難しいだろう。「シアトルのすべての窓ガラスを洗浄するとして、あなたはいくら請求しますか?」や「全世界でピアノの調律師は何人いますか?」などという問いは、フェルミ推定というものらしい。若干、物理学には知識があるのでフェルミのことは知っているが、フェルミ粒子やらフェルミの黄金則やらそのの名を冠した業績は多くある有名なノーベル賞受賞物理学者である。


 実際にはありえない状況を仮定して、最低限の知識から最大限の推定をする。フェルミが優秀な学生を捕まえては、こうした荒唐無稽(crasy)な、なぞかけをして学生を試していたというのがフェルミ推定の云われらしい。近年はビジネス分野でコンサルタントの面接の問題などに使われるらしい。その意味では、Googleではコンサルタント的な能力も試されるということか。


 こういった問題に就職試験対策をやっているような人物だと採用は無理だろう。別に単一の解を期待しているとも思えない。うがった見方をすれば、時間が限られた場面で困難な問題に遭遇したときの、その人の咄嗟の状況判断能力を「観察」しているのではないか。とんちんかんな答でも、その論理の中に奇抜な発想とか洞察力を期待しているのかもしれない。入学試験とか公務員試験のような勉強ばかりしている人にはもっとも苦手とするところだろう。


 コンサルタント的な能力で思い出したが、こうしたことはブレーンストーミング能力と関連している言ってもよいかもしれない。分厚い資料やら本の知識を使うのでなく、あるテーマに関して紙と鉛筆と頭にホワイトボードだけで最大限のアイデアを出していく。アイデアのない人、言われたことだけを忠実にやっていればよいと考える人には苦痛以外の何物でもないが、アイデアを出せる人間からすれば、互いにコミュニケーションを取ることがヒントになり、どんどんいろいろなアイデアが進展する。1つの答えを出すにもいろいろな方法が出てくる。経験上で言えば、いろいろアイデアが出てきた結果、本来のテーマの解決以上に、他のことにも使える副産物の成果が大きいことがよくある。


 とは言っても、そういう結果になるのは理想的な場合で、Googleの最初の問いにあるように、コミュニケーションを取りたいとも思えないような相手とはいくら議論しようが、実際の成果やモチベーションの向上ともにうまくいかない。特にソフトウェア技術者にそういう輩は多いから困ったものである。要するに「お山の大将」なのである。
 本当に能力の高い「天才」は、アイデアからソフトウェアの実装まですべて1人でやってのける。その他大勢の人は、グリッドコンピューティングではないが、少しずつアイデアを出し合って、コミュニケーションを取りながら、協力して1つのものを作り上げていくしかない。ベストのものよりベターなものを目指すしかない。しかし天才でもないのに、人間的ネットワーク機能に欠ける人材が多いことも確かである。日本ではソフト技術者とかエンジニアの地位が向上しないのは、そういったことも影響しているのかもしれない。