SunとMicrosoftが提携

 長年敵対関係にあったSun がMicrosoftx64サーバーの販売で提携し、Windows Server 2003 のOEM販売を行うという。2004年に両社は、いっさいの訴訟を解消して広範囲の技術提携を行っていくことに合意しているそうだから、その一環であるとは言える。この流れの速いコンピュータの世界にあって、両者の思惑はどこにあるのだろうか。

Sun、『Windows Server』をインストールした x64 サーバーを販売へ
サン、「Windows Server 2003」を搭載したサーバを発売へ(CNET Japan)

 Microsftは1980年代に、MS-DOSIBM PCから母屋を乗っ取る形でPCの世界で主導権を握り、1990年代にWindows NTを発表したとき、ビル・ゲイツは「MicrosoftMS-DOSIBMを瀕死の状態に追い込み、WindowsMacintoshを壊滅させ、Windows NTでUNIXに止めを刺す」と、OSの制覇を豪語していたものだった」。


 一方のSunは、ワークステーション(WS)では唯一の勝ち組で、エンタープライズ市場を独占していたといってもよい。企業ユースではPCなど使い物にならず、みな高価なWSに移行するとみていた。Intel系のPCなどは歯牙にもかけなかったといえる。

 90年代以降になって、両社の思惑はどちらもはずれたといえる。Microsoftは結局UNIXには勝てなかった。ネットワークで失敗して、インターネットの主流にはなることはできなかった。Sunは、PCの性能がどんどんWSを追い越し、Solarisが必要とされる場面は大規模ネットワークのサーバー分野に限られことになり、むしろシェアを減らしていった。この背景にはインターネットの普及とLinuxを代表格とするオープンソース市場の進展が関係している。SolarisオープンソースLinuxに追い抜かれた
 WindowsSolarisというOSだけの争いだけでなく、さまざまな場面で両社はぶつかる。Pure Javaをめぐっての訴訟、ネットワークコンピュータ、Officeスウィート、最近ではODFとOpen XMLの規格争いもその1つであるだろう。


 企業ユーザからみれば、両社の争いは迷惑なだけである。現実的に現在のネットワークは、対外公開サーバーとしてSolaris、社内サーバーとしてはWindows Serverを設置せざるをえない。最もトラブルが起こりやすいはその「繋ぎ目」の部分に相当するところである。このとき両方のシステムのサポートが別々になると、非常にややこしい。現実は、その間にSIやサポート会社が入って、両方ともなんとかサポートしてくれるのだが、いずれにしても余分なコストがかかるような気がしてならない。


 Sunが今後に展開する64ビットサーバーに関しては、OEMのWindows Severを自ら販売し、サポートも引き受けていくということだろう。両社とも無駄なことがなくなるし、ユーザにとってもスム−ズにサポートが受けられてやれやれというところだろう。これまでのように、企業エゴで相手を壊滅させようと意図する不毛な争いは、もうやめておこうというわけだ。


 そうなったのも、両社とも余裕がなくなったというのが現実だろう。ネット時代になって、もはや主流はSunでもMicrosoftでもない。GoogleYahoo!といったネット企業に追い抜かれ、すでに両社は古い企業になってしまっている。SunがIBMと提携したり、MicrosoftNovellと提携しているのも、かつての古いライバル企業同士で協力して生き残りを模索しているように見える。


 それにしても、昔の対立関係を知っていれば、Sunのロゴが入ったWindows Serverというのは何か気色が悪い気もする。