商用ソフトのオープンソース化

 オープンソースソフトウェア全盛の時代であるが、従来からの商用ソフトウェアにもこの流れには逆らえず、近い将来その中の8割方は、オープンソースコードが含まれるであろうという予測がある。
 言われてみれば、もはや当たり前のことを言っているように思えるが、そもそも商用ソフトウェアの定義自体が変わってくるのではないだろうか。

「2010年、商用ソフトの8割がオープンソースを利用」の意味 (@IT)

 現在、一般ユーザに関わりが深い商用ソフトといえば、WindowsとOffice、それにPhotoshopのような一部のメジャーソフトしか思い浮かばない。他は各自の趣味のゲームソフトくらいだろうか。ほとんどが従来のデスクトップ型ソフトであることに気がつく。ネット関連のソフトは、クライアント・サーバー問わず、ほとんどがオープンソースか無償ソフトである。言語コンパイラでさえ、GNUコンパイラで十分である。今、商用ソフトとあえて言うものは、特殊な業務系ソフトだけであるといってもよい。


 昔のフリーソフトというと、個人がボランティアで開発、公開したものというイメージで、動作は保証の限りではないというものだった。したがって、ゲームとか趣味のソフトとして使うのが中心であり、業務に使おうという発想はなかった。少なくとも公の場で提案できるものではなく、予算もままならない現場で密かに使っているというのが実態ではなかったか。
 現在では、はっきりいってオープンソースソフトウェアの方が優秀である。個人が作っているわけでなく、プロジェクト化され有能な複数の開発者によって叩き上げられるし、バグがあってもフィードバックされ修正も早い。商用ソフトと違うのは、個々のサポートがないというだけである。


 商用ソフトとは、そもそもソースがクローズトのものの、使用権のライセンスを売ることであり、決してソースコードそのものを売っていたわけではない。オープンソースの時代になってしまえば、使用権もソースコードのどちらも、売るという発想がナンセンスのものになってしまう。なので従来の商用ソフトの意味のままで、8割がオープンソースコードが含まれるようになるとすれば、残り2割の分の使用権かソースコードを売るということになってしまう。これはおかしいだろう。


 やはり今後の(現在すでにそうであるかもしれない)商用ソフトとは、サポート付きの部分が有償とか、個別の環境にカスタマイズした際のインターフェース部分が商品となるということになるのだろう。いずれにしろ、ソフトの使用権を売るという発想の商用ソフトは、Microsoftだけになるのではないだろうか。もっともそれが一番問題なわけなのだが。