福田自民党総裁選出

 連休の中の大きな話題といえば、これくらいだろうか。福田氏が22代目になる自民党総裁に選出されたとのことである。首相の選挙ではなくて自民党内部だけのボスの選出なのだから、国民にとってはどこか人ごとのような話ではある。ただ、与党である自民党の総裁イコール総理大臣になることは確定であり、国会の首班指名などはいつもセレモニーに過ぎないので、マスコミの質疑などを見ていても、すでに総理としての質問内容を先走っているように見受けられる。


 このまま総理大臣になれば、憲政史上では初の親子での総理大臣誕生ということになる。特に快挙でもなんでもなくて、これだけ政治家の2世、3世議員のような世襲化が進んでいれば、親子だ孫だ、親戚だなどという繋がりが当たり前のようになってしまっている。政治家業もまるで一族経営みたいなものになった安倍総理にしても、麻生氏になっていたとしても、仮に民主党になったとしてもたいして変わらない。


 しかし自民党の総裁選なのに、街頭演説だとか地方の視察だとかのパフォーマンスをやっていたのはいかがなものか。自民党の県連の地方票もあるからそのアピールなのだろうが、投票権のない一般国民には関係なくて、あくまで自民党内部の事情の話である。それより、現時点で国会期間中のはずだろう。安倍総理が突然の辞意を表明したからといって、すべての国会審議をやめてしまうのはどういう理屈なのだろうか。
 それはトップが不在とはいえ、まだ正式に辞任はしてしないわけだから、トップ以外の者は最後まで役目を果たすべきだろう。最終決定の判断まではできないにしろ、まだ議論すら始めていない問題はたくさんあるはずである。国会の委員会は続けて議論の要点を煮詰めるくらいは、まともな議論ならできそうではある。安倍政権にも実績はあったと今になって擁護する人もいるが、数の論理でろくな議論もせずに強行採決で法案を通してきただけの印象しかない。


 この間、テレビにばかり出演する政治家(決まった人ばかりの気もする)には、国会でやれと言いたくなる。また、このときとばかり、キャスターだかコメンテータだかが、あたかも国民を代表しているかのように偉そうに言っているのも、気分が悪くなる。だったら、お前が議員になれよと。


 どうせ国会議員がパフォーマンスをやるのなら、国会で議論しているパフォーマンスをテレビ中継で見せた方がよほどましなのではないか。テレビ側もスポーツ中継みたいに、突っ込みとか応援を入れながらやるとかすればいいのではないか。本業である国会活動を怠けて、ワイドショーのようなテレビ出演で人気を取ろうとするのも軽薄のようにしか思えない。結局、国会は元来が議論の場なのではなく、すべてがセレモニーの場ではないのかと思えてくる。