Netscape Navigator 9 がリリース

 ちょっと驚きのNetscape Navigatorのバージョン9の英語版がリリースされた。6月の調査では、もはやブラウザのシェアが0.1%になっているNetscapeだけに、新バージョンを出す意味があるのかと思われるが、どっこいまだ生きているということのようである。

Netscape Navigator 9、正式リリース (ITmedia News)
Netscape 9 非公式FAQ

 自分の古い現在使っているPCにも、Netscape7.1なるものが入っている。最近は起動することもなく、ブックマークも更新されず、Netscape Mailメールなども使われず、たまに起動してみたら空き家状態の風情である。話題にすることすら懐古趣味のように思えて、どうしようかと思ったくらいである。もちろんNetscapeの環境は、とっくにFirefoxに引き継がれて、ブラウザ機能もパワーアップされているから、何も困ることはないのである。


 それがNetscape Navigator 9が出たというのだが、はて?バージョン8はどうしたのだろうかと思って調べてみた。てっきり7.1で打ち止めになっていたのかと思っていたが、昨年秋くらいに8は出ていたのである。ただし英語版のままだそうで、日本語版はそれ以前にNetscape日本法人が撤退しているので出なかったということだそうである。そのこともあって日本ではあまり報道もされなかったらしい。有志の作成した私的な8の日本語版は存在するらしいが、バージョン9の日本語版もどうなるか、わからないらしい。さすがに、英語版のままでもいち早くインストールして試してみようというモチベーションまでは湧いてこない。


 さて新版では、もともとのNetscape Navigatorという名前を復活させたらしい。実体は何かというと、Firefox2.0をベースにしたものだという。Netscapeオープンソース化して発足したのがMozillaプロジェクトだったわけだから、今やその立場は逆転したとも言えるのだろうか。なので、機能的にはFirefoxの持っているものがそのまま使えるという。たとえば拡張機能などが使えるようだ。


 またバージョン8はWindows版しか開発されなかったようだが、9はLinux版、Mac版もある。まあLinux版で試してみるかとも思うが、こちらもFirefoxはもちろん、旧版のMozillaも使えるようになっている。どこか、少しでもNetscape Navigatorに優位性があるのか、記事だけではわからない。


 世間的なシェアがほとんど無くなってしまい、同じプラットフォームで使えるブラウザの種類も増えた現在、新版のNetscape Navigatorがどういう場面で利用されることが想定されるのだろうか

 かつてはブラウザといえばNetscape Navigatorしかなかった。それだけに実際現在は使っていなくても、今でも思い入れのある人は多いだろう。IEによってあからさまなMicrosoftによる潰しを受けた典型例ともいえるが、それよりもNetscapeを買収したAOLに問題があったような気がする。オープンソース路線をうまく展開していれば、現在のFirefoxの立場はNetscapeだったかもしれない。もっとも当時のNetscapeの開発者などはMozillaプロジェクトや他の組織で活躍はしているのだろう。


 同じNetscapeの名前は付いているものの、昔のNetscapeというよりは、Firefoxの亜流ブラウザとでも思った方がいいかもしれない。無くても別に困りはしないが、昔の恋人の名前みたいなもので、なんとなく気にはなるソフトではある。