青空文庫DVDを図書館に寄贈

 前にも著作権問題で取り上げたことがある青空文庫が、著作権保護期間が切れた作家らの6500作品を収録したDVD-ROMを図書館に寄贈するという。こういう地道な文化資産のデジタル化を行っている人たちには素直に頭が下がる。それに比べて著作権権利者団体のふるまいときたら・・・。

青空文庫、6500作品入りDVD-ROMを図書館に寄贈
青空文庫、漱石や芥川など6,500作品収録のDVDを全国の図書館に寄贈

 この中には日本の文学を代表する夏目漱石芥川龍之介太宰治らの著作も含まれている。自分も若い頃、漱石の作品はほぼ全部読んだ。その記念に昔の装丁のままの復古版全集を買って持っているくらいだ。同じように芥川も読破しようとしたが、絶版になっているものもあって意欲がそがれた記憶もある。デジタル文庫で事実上オープンソース化されて提供されるようになるとは、なんともすばらしいことである。


 世界は作者の没後70年だから、日本も現行の50年を改めて70年にしろ、という主張がある。しかし本当にすばらしい人類共有の文化遺産は、現在のソフトウェアのようにオープンスース化するべきだと思う。それによって、一部の人間が再配布で利益を挙げるべきではないだろう。50年、36年の生涯だった漱石や芥川の業績に対して、その後70年近くも一部の人間のための利権のようになるのは、やはりおかしいだろう。たとえば特許の期間にしても20年間である。あまりにも特許に縛られすぎると、新しい発明にも支障をきたすからである。


 いずれにせよ、画期的な文化の発展に寄与した業績が長い期間、広く世界に知れ渡るのを阻害されることは、誰よりも著作者や発明者本人が最も望んでいないことだろう。