PCとテレビの接続

 ワンセグのようにPCでテレビを見られたり、デジタルテレビ化で液晶テレビが普及したり、DVDやHDDに録画・再生できるようになって、PCとテレビを接続できないかと考えるとは当然である。
 一時、ホリエモンが「放送と通信の融合」と偉そうに語っていたことがあるが、何も特定の人間の提言ではなく、誰でもが考えていたことである。放送局側の都合の話ばかりでなく、なぜユーザ側の自宅のPCとテレビを簡単に接続することはできなかったのか

PCとテレビを接続して使いたい機能は「録画・再生」(CNET Japan)

 液晶薄型テレビが普及するようになった頃から、ちょっと考えればPCもテレビも同じ液晶画面だし、DVDもHDDもハードウェアは同じなのだから共有して使えないかという発想は出てくるだろう。単純にはPCの画面を大きなサイズの液晶テレビ画面に映したい、DVDに録画したテレビ番組をPCの画面で見たいと考えるだろう。さらには録画デッキのHDDはPCとも共通のはずだから、USB接続したり、さらにはHDDそのものをPCと共有できないかと考える。


 もう5年くらい前に、そう思って家電店の店長と話しこんだことがあった。当時はまだ不況まっただ中で家電でも売れるのは液晶テレビとDVD/HDDデッキだけだと言っていた。PCと液晶テレビとの接続は原理的にはできるはずなのだが、そもそも同じメーカーでもPC部門と家電部門では商品開発のコンセプトが異なるのだという。


 テレビ部門では一般家庭で誰でも簡単にリモコン操作一発で録画・再生できればよいという商品を作る。難しい接続などはむしろ敬遠されるものだ。一方PC部門では、ネット接続や周辺機能のオプションを競う商品を作る。
 だからテレビとPCと見かけが同じものでも、コンセプトを異なるそれらを機器を接続するのは、ドライバとかいろいろと障害が多そうな感じだった。当時唯一引かれたビデオデッキ製品は、東芝製で600GBのHDD容量を持ち、接続用LANポートが付いているものだった。10数万円ほどしたので結局買いはしなかったが、LANポートがあるからといって、簡単にPCと接続してHDDを認識はできないだろうと予想したからである。


 PCだけでもLAN型HDDが出始めてきた頃だったが、最近ではどうなったのか、まだフォローはしていないが、ひょっとしたらスムースに接続できるようになったかもしれない。つまりPCと液晶テレビをLAN接続してHDD型レコーダをファイルサーバのように使えないかと思ったのである。その後、テレビそのものに関心が薄れてしまったこともあるが、また今後そういう可能性を探ってみたいと思う。


 ところで、放送局とIT企業は、歴史的にも企業コンセプトが異なり、いまだに買収するかどうかで丁々発止をやっているくらいである。実はデジタル化とは、著作権問題にも見られるように、技術的な問題よりも文化が違う世界同士を結ぶための障害の方がはるかに大きいように思われるのである。