紙の辞書かデジタル辞書か

 どんな形態の辞書を使うかという調査がある。1位紙の辞書と2位オンライン辞書が拮抗し、3位電子辞書、4位携帯電話辞書と続いている。

紙の辞書がオンライン辞書を抑えてトップに(Japan.internet.com)

 前回の調査ではオンライン辞書がトップだったが、今回は紙の辞書が再びトップに立ったということだが、これを見る限り、PCやネットおよび携帯電話の普及で、世の中のデジタル辞書への移行は自然な流れであろうとは見ることができる。

 ただ調査対象が20代から60代のビジネスマンに限っていることと、すべての世代を総合した結果であるから、学生や主婦層とか年代別に見れば、明らかに違った傾向が見られるだろう。


 仕事をしている人は、辞書を引く目的がほとんどの場合、文書や報告書を書くためである。気の利いた熟語を使うというより漢字やスペルに誤りがないか確認する必要がある。誤字・脱字だらけの文書を取引先に送付でもしようものなら、信用問題にも係わりかねない。担当者レベルであれ、上司や代表者名で文書を作成することもあるから、ちょっとした表現の誤用にも気を使うことは当然である。想像すれば、ちょっとした漢字の確認はオンライン辞書で十分、より用例が複雑なものを調べるときは、職場で手元にあれば大きな紙の辞書を調べるだろう。


 ところで学生などは電子辞書を持っている人が増えた。高校生くらいで友達とマグドナルドなどで電子辞書片手に語学の試験勉強している姿を見かけるようになった。携帯電話辞書を使うのもお手のものだろう。売る方も入学祝いに電子辞書という商品を出しているくらいである。ネットにはPCよりも携帯電話から先に入っているような年代層である。
 また主婦層もPCよりは電子辞書派であろう。「隣の奥さんも電子辞書を買った。娘から買ってもらったようだ」などという話も聞かれるようになった。テレビショッピングなどの効果も大きいかもしれない。こちらは英語などよりも、四字熟語とか百科事典、家庭の医学とかの需要も大きそうだ。


 現状では各層、各世代によって使い分けられているのだろう。ワープロで文章を書く人がその都度紙の辞書を引くとも思えないし(文章を入力するスピードが落ちる)、紙でしか原稿を書けない年配者がオンライン辞書を引くとも思えない。


 自分自身のことを考えても、紙の辞書を引く機会はめっきり減った。ただ古い世代の人間のせいか、純粋に勉強のためならやはり紙の辞書でトレーニングするべきだと思っている。紙の辞書をうまく引ける人がデジタル辞書もやはりうまく使えるものだと思う。少なくともデジタル辞書が紙の辞書のスタイルを踏襲している限りはそう言えるが、動画や音声入り辞書が当たり前になるとすれば、また別の話になるだろう。