IPアドレス枯渇問題再燃か

 ネット初期の頃から言われてきたIPv4アドレスの枯渇問題だが、ここに来てあらためて枯渇の時期が予測されている。早ければ2011年、遅くとも2013年に枯渇するとのことである。石油枯渇や地球温暖化対策よりもはるかに身近な問題である。国内的に言えば、地デジ移行完了の頃には枯渇することになる。

IPアドレス枯渇問題、「ろくな対策はないが、IPv6はまだまし」(@IT)

 IPv4は32ビットアドレスだから2の32乗=約43億個しかないので、地球の現在の人口が65億人であることを考えても足りなくなるのは当然と、ネットの初期の頃は教えられたものだし、なんとなく納得していたものだった。その後、ネットの普及が進みIPアドレスの枯渇も一気に進むかと思いきや、どっこいなかなかIPv4もしぶとい?というべきか、あまり騒がれないどころか、専門家の間でも別に大丈夫ではないかというような声さえ聞かれた。
 なぜかと言えば、その後に広まったIPv4アドレスをケチケチしながら使う技術であるNAPT(IPマスカレード)が普及したからであろう。外部IPアドレス1個に対して内部IPアドレス多数個を対応付けられるようになったからである。またIPアドレスの割り当ても、細切れにして割り当てられるようになった。


 ネット初期の頃は、IPv4アドレスもクラスA,B,Cなどという大雑把な切り方しかできなかったし、古いルータなどもそうした割り当てにしか対応していなかった。また割り当てにしても大企業には国内割り当て分を気前よく?行ったために、後になってたとえ使われていなくても返却させることが事実上できなくなっている。インターネットは、国などが管理するものではないという頃の話だったからである。時間的に枯渇してくるのは当然としても、現在になって当時のしわ寄せが来ているような感じである。


 もう1つの問題は、早くからIPv4に代わるものとしてのIPv6への盛り上がりが鈍いということである。IPv4で当面足りているので自分のところのネットだけ他のネットやハード、ソフトともに互換性のないIPv6に無理をして移行させる必然性はないだろうし、現時点ではビジネスベースにも乗りにくい。
 IPv6はまた別の技術的問題もあるのかもしれないが、やはり大きなモチベーションというか危機意識が社会に生まれないとIPv6は推進されないのだろう。


 ただIPv6は当面はインターネットのような外部ネットのためのIPアドレスではなく、内部ネットで使われるものでよいのではないかと思う。今後一番必要になるのは家電である。ネット接続可能な家電は当面は内部ネットだけでよい。デジタルテレビやIP電話などだけは、どこかでIPv6IPv4の変換ができればよいのではないか。


 もちろん数からしてIPv6が外部ネットで使われるのがよいが、世界全体がIPv6に移行するには相当時間がかかるだろう。まだネット化されていない家庭内やビル内などからIPv6化を見えないうちに普及させていくのが自然のような気もするが、それではIPv4の枯渇に間に合わないだろうか。